【私の初めてのひとり旅】久住昌之さん 日光澤温泉、下田(2)
友だちと下田の堤防の上で記念撮影(右から2人目が久住さん)
くすみ・まさゆき [漫画家]
1958 年、東京都出身。2012 年にテレビドラマ化された『孤独のグルメ』の原作者。ミュージシャンとしても活躍し、同ドラマの劇中音楽を作曲・演奏している。よみうりカルチャー「敦賀・若狭講座」の講師も務める。著書も多数あり、最新刊は弟・卓也さんとコンビを組んだ『古本屋台2』(本の雑誌社)。
高校時代の下田旅行 楽しい思い出を漫画に
【私の初めてのひとり旅】久住昌之さん 日光澤温泉、下田(1)から続く
ひとり旅ではありませんが、高校2年の夏休みに友だち6〜7人で静岡県の下田へ行った旅もよい思い出です。親も大人もいない初めての旅だったので、楽しかったですね。きれいな海でたくさん泳いで、友だちの1人は日焼けしすぎて痛くて風呂に入れないと騒いでいました。早起きして海に朝日を見に行ったり、朝ごはんのアジの干物がおいしくて腹いっぱいになるまで食べて、もう動けねえなんて言ったりして。昼はカウンターだけの飲み屋さんみたいな店でカレーを食べて、そこのばあちゃんがこのカレーは青山で出してもおかしくないと強気に言っていたのを覚えています。
この旅のことは後に『野武士のグルメ』という漫画に描いて、ドラマにもなりました。日光澤温泉のこともこれを機にいろいろ思い出したので、何か描くかもしれません。
誰かと一緒に行く旅も嫌いではないけど、ひとり旅は気を使わなくて好きです。今はネットの時代ですが、事前に調べることはしません。旅先の床屋さんにぶらりと入って、髪を切ってもらいながら地元の人が行く食べ物屋さんなどの話を聞くのが好きです。旅の醍醐味(だいごみ)は予期せぬ出会いに尽きると思うんです。
いつか行ってみたいのは大分県の久住山です。小学生の時に地図帳で見つけてからずっと行きたいと思っているのですが、なかなか機会がなくて。何かのついでに行けちゃうような気もしているんですけどね。
話・写真/久住昌之 聞き手/山脇幸二
※記載内容はすべて掲載時のデータです。
(出典:「旅行読売」2024年5月号)
(Web掲載:2024年6月11日)