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【私の初めてのひとり旅】市毛良枝さん 宝塚、熊本、長崎、登山(1)

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【私の初めてのひとり旅】市毛良枝さん 宝塚、熊本、長崎、登山(1)

いちげ・よしえ [俳優]

1950年、静岡県出身。文学座附属演劇研究所を経て、71 年にテレビドラマ「冬の華」でデビュー。映画、舞台、テレビなどで幅広く活躍する。趣味は登山で、エベレスト、キリマンジャロなど海外の山岳にも登頂している。NPO 法人「日本トレッキング協会」理事も務める。新刊『73 歳、ひとり楽しむ山歩き(仮題)』が2024 年2月発売予定。

中学時代に行った宝塚への旅は役者の世界に通じていました

中学1年の時に宝塚歌劇団のファンになりました。中学、高校は静岡県修善寺町(現伊豆市)の親元を離れて東京の学校に通っていたのですが、友だちにファンが多かったんです。私もテレビの舞台中継を見たら、滂沱(ぼうだ)の涙を流しまして。一回で好きになり、彼女たちとすっかり仲良くなりました。

そのうち宝塚大劇場(兵庫)に行きたくなり、父に手紙を書いて許しをもらい、中学3年の夏休みに実行しました。ひとりではダメだと言われるので、その時は名古屋に住む4歳上のいとこに付き合ってもらったのです。残念ながら公演内容はもう覚えていないのですが、宝塚の街をうろうろして音楽学校などゆかりの場所を見て回りました。

翌年の夏休みには本当にひとりで行き、ますます宝塚に夢中になりました。高校を卒業したら音楽学校に入ろうと願書も取り寄せたほどです。でも、ふと冷静になって考えると私には無理だと諦めました。それで女優さんにでもなっちゃおうかなと方向転換する暴挙。それが今につながるのだから恐ろしいですね。少女期に培われたものに影響されたのだと感じます。

高校時代に宝塚大劇場を訪ねた時の市毛さん(1967年撮影)

私はなんでもひとりでやるタイプなので、ひとり旅も大好きです。誰かと行くのもいいんですけど、同行者の分までチケットを取って、運転してと旅行代理店みたいになっちゃうんです。ニュージーランドで9人乗りのバンを借りて私が運転して、みんな寝ていたこともありました。

特に印象に残っているのは、新人時代に行った熊本・長崎へのひとり旅です。福岡で仕事があって、当時はマネジャーが同行していなくて、終わったらフリータイムだと思い込んでしまったんです。学校がキリスト教系だったので賛美歌や教会建築になじみがあり、これはチャンスだと思って天草へ向かいました。そこから平戸まで2週間かけて天主堂巡りをしました。歩いている人が唐行(からゆ)きさんに見えたり、この道は隠れキリシタンが歩いたかもしれないと思ったり、妄想の旅でした。東京に戻ったら事務所の社長にめちゃくちゃ怒られましたけど。

話・写真/市毛良枝
聞き手/山脇幸二

【私の初めてのひとり旅】市毛良枝さん 宝塚、熊本、長崎、登山(2)へ続く(12月28日公開予定)


(出典:「旅行読売」2024年1月号)
(Web掲載:2023年12月27日)

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Writer

山脇幸二 さん

2022年6月に編集部に着任し、8月から編集長。読売新聞の記者時代は27年にわたって運動部でスポーツ取材に明け暮れた。一時は月の半分近くが出張という生活で、旅行しながら仕事しているような状態だった。今やその旅行が仕事になろうとは…。趣味はロック鑑賞で、ライブやフェスに通うことで身も心も若さを保とうと悪あがきする。矢沢永吉さんを尊敬し、ともに歳を重ねていける幸せをかみしめる日々。

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