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【旅する喫茶店】コーヒーハウス かこ 花車本店(名古屋)

場所
  • 国内
  • > 北陸・中部・信越
  • > 愛知県
> 名古屋市
【旅する喫茶店】コーヒーハウス かこ 花車本店(名古屋)

店名「かこ」は引き継ぐ前の喫茶店のオーナーの愛称。修道院のような雰囲気の店内でネルドリップコーヒーの香りに浸る

 

フルーツコンフィチュールのモーニング

名古屋駅から大通りを歩いて一本路地に入ると、風にのってトーストの匂いが漂ってきた。行列に並び、ようやく店に入って注文したモーニングは、4分割したトースト上にあんこと生クリーム、旬の果物のコンフィチュール(ジャム)がのっている。一口頬張るごとに幸せを感じる。

1972年創業の「かこ」は店主の土屋賞蔵さんが24歳の時に、知人が営んでいた店を居抜きで引き継ぎ、自家焙煎(ばいせん)の喫茶店として始めた。地元の修道院をモチーフに改装した店内は、ステンドグラスや一枚板のカウンター、ブドウを描いた壁画に、時を重ねてきた味わいがある。

「なんでもないことを一つずつ丁寧にやれば、必ずおいしくなる」と言う土屋さんの仕事は毎朝5時半から始まる。イチゴやキウイのジャムは素材選びからこだわり、銅鍋でじっくり煮詰める。定番のマーマレードは、ジュースを作るために絞った新鮮なオレンジの皮を下処理して活用。あんこは三温糖を使い、隠し味にドイツの岩塩を入れ、甘さ控えめ。深煎(い)りのコーヒーとの相性も抜群だ。

「ちょうど50周年を迎えた時に常連さんがお祝いのパーティーを開いてくれてね。この店はお客さんの優しさで支えられているんです」と言うと、居合わせた常連さんが「そうそう」と微笑んだ。「かこ」で感じる居心地の良さは、店主をはじめ店にいる人たちが作っているのだろう。

文/仲底まゆみ 写真/青谷 慶

ステンドグラスが特徴的な店
毎日コム・デ・ギャルソンのシャツを着てカウンターに立つ土屋さん
あんこと生クリーム、コンフィチュールがのる、一番人気のシャンティールージュスペシャル800円(11時までのモーニングはドリンク+400円)。あんこなしやコンフィチュールだけのメニューも

コーヒーハウス かこ 花車(はなぐるま)本店

愛知県名古屋市中村区名駅5-16-17 花車ビル南館1F
TEL:052-586-0239
営業:7時~L.O.16時30分/不定休
交通:東海道新幹線名古屋駅から徒歩5分、または地下鉄桜通線国際センター駅から徒歩2分

※記載内容は掲載時のデータです。

(出典:「旅行読売」2024年6月号)
(Web掲載:2024年6月20日)


Writer

仲底まゆみ さん

大阪生まれ。古いものと新しいものが混在するまちや、路地裏を歩くのが好き。「こころで聴き、足で書く」をモットーに取材を通して、地域の魅力を引き出すことが目標。共著 『建築技師という生き方 東畑謙三との対話』(創元社)

 

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