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珈琲 王城(東京)【旅する喫茶店】

場所
> 台東区
珈琲 王城(東京)【旅する喫茶店】

SNS 映えする昭和レトロな空間やメニューにひかれて訪れる若者も多い

 

昭和から続く〝ヨーロッパの城〞

携帯電話が普及する前、駅近くの純喫茶は待ち合わせ場所として重宝されていた。1975年、上野駅近くにオープンした珈琲王城(コーヒーおうじょう)も、乗降客から愛され続け、今の店主・玉山珉碩(たみひろ)さんで3代目になる。

店の名前の通り、店内の調度は大きなシャンデリアに、座り心地のよいゴブラン織りのイスと豪華だ。「ヨーロッパの貴族になった気分で優雅に過ごしていただきたいと思っています」と玉山さん。そのなかに昭和レトロな雰囲気が漂う。

「内装は極力開店当時のままの雰囲気を保つように努めています」と玉山さんが言うように、昔ながらの白熱球にも温かみを感じる。

列車待ちの客がゆっくりできるよう配慮し、食事のボリュームが多いのも特徴だ。時は流れ、今日では大きなチョコレートパフェがSNSで話題になっている。また、玉山さんは漢方医でもあり、薬膳キーマカレー、なつめミルク、黒糖しょうがミルクといった体に優しい品も提供している。もちろん、定番のナポリタンやサンドイッチも根強いファンが多い。昭和の時代に王城を訪れた客が、子どもや孫を連れて来店することもあるそうだ。

新幹線の開業前、「北の玄関口」上野駅には東北や上越方面に向かうL特急、夜行列車が頻繁に発着していた。コーヒーを飲み終えると、ふと北に向かって旅に出たくなった。

文/荒井浩幸 写真/三川ゆき江

イギリスのエリザベス女王が来日し王室ブームが起こった1975年に開業
白熱球や木枠の時計、植物を描いた壁紙などもレトロ感がある
ひき肉がたっぷりのったミートソース1200円。ゆでた麺を一晩寝かせることでコシが強くなる。コーヒーとのランチセットは1400円

珈琲 王城

東京都台東区上野6-8-15
TEL:03-3832-2863
営業:8時~L.O.18時/無休(臨時休あり)
交通:山手線上野駅広小路口から徒歩3分

※記載内容は掲載時のデータです。

(出典:「旅行読売」2024年5月号)
(Web掲載:2024年6月2日)


Writer

荒井浩幸 さん

1970年、埼玉県生まれ。旅に関することならジャンルを問わず、オールマイティにこなす、旅行ライター。食欲旺盛で、その「実力?」は特に味の店の連続取材の時にいかんなく発揮される! そして、昼はコーヒーを味わい、夜はお酒をたしなむ。旅とともに国内の民俗に関心をもち、研究もしている。

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