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中山秀征さん 街道をのんびり歩けば よき人とうまいものと出会う【駅から歩こう1万歩】

中山秀征さん 街道をのんびり歩けば よき人とうまいものと出会う【駅から歩こう1万歩】

すでに30か所に近い街道の街を歩いてきた中山さん

 

なかやま・ひでゆき

1967年、群馬県生まれ。15歳で上京し、芸能活動を始める。テレビのバラエティー番組やドラマなどで活躍。群馬県の魅力をPRする「ぐんま大使」も務める。2022年10月からBS11で「中山秀征の楽しく1万歩!小京都日和(びより)」がスタート。23年10月に後継シリーズとして「中山秀征の楽しく1万歩!街道びより」が始まった。

〝たかが〟なんですけど、歩いてみると〝されど〟でもある1万歩

BS11の番組「中山秀征の楽しく1万歩!街道びより」で多くの街を歩いています。1万歩というと、人にもよりますが、7キロ〜8キロくらいです。決して歩けない、苦しい距離ではない。僕の番組では、お店や観光スポットに立ち寄ったり、地元の人々と触れ合ったりというのが中心になっています。収録には5、6時間かかります。

7、8キロなんて車に乗ったらすぐ通り過ぎてしまいます。〝たかが〟なんですけど、歩いてみると〝されど〟でもあり、車だと見落としてしまうものも、一つ一つを眺めたり、触れたりすることができます。人の体の幅くらいの狭い路地に入ることもありますが、そんな所は歩いているからこそ入って行けますよね。路地って、冒険心をそそられるんですよ。子どもの頃、知らない山に登ってみたり、森に入ってみたりそんなワクワク感がありますね。

番組では、事前にプランも作っておくのですが、実際に行ってみると、予定していた店ではなく、隣の店に入ったり、ふらっと違う所へ行ったりもします。たまたま会った人との会話から地域の特産品が分かったり、住んでいる人の日常生活を垣間見られたりもします。今年は寒いねとか、暑いねとか、桜の開花が早そうだねとか、花粉が多いねとか、何気ない会話から話が広がることもあります。

街には面白いオジちゃまやオバちゃまがたくさんいるんです。伊勢では名物の伊勢うどんの店に寄ったんですけど、スピーディーに食べられるようにコシがなくて軟らかくてダシが甘じょっぱくて、独特なんです。おいしいって言うと、店主さんがものすごく喜んでくれるんですね。「何千杯、何万杯と作って、やってきたかいがあります」なんて涙ぐまれちゃったりすると、こっちもグッと来ちゃって。そういう人間味も含めておいしさになると思うんです。

中山さんが絶賛した伊勢うどん

憧れのあの人の足跡をたどる旅

歴史的な街並みや建造物を見るのもいいんですが、人の歴史を感じるのも大好きです。例えば、小樽だと石原裕次郎さん。少年時代を小樽で過ごした方で、個人的にも憧れの存在なので、裕次郎さんの足音や、「おれの小樽」の歌声が聞こえてくるような気がしました。石原裕次郎記念館は閉館してしまいましたが、愛用のヨットは今も展示されているし、駅のホームには等身大パネルもありました。裕次郎さんは雲の上の人だけど、実際にこの地に暮らしていたんだということが感じられて、特別な気持ちになりました。

石原裕次郎さん愛用のヨットの前で記念撮影

浅草では萩本欽一さんやビートたけしさんの香りが感じられました。修業時代のたけしさんが通った居酒屋「捕鯨舩(ほげいせん)」は、映画「浅草キッド」の中でも描かれていますが、でっかい釜で作る煮込みもたけしさんの香りなんですね。街が新しくきれいになっても、先輩たちが流した涙や、笑い転げたこと、落ち込んだこと、人の情けや義理なんかは色濃く残っていて、あの煮込みはそんな味がするんです。

中山さんにとって「捕鯨舩」の煮込みは浅草を象徴する味

食も街歩きの大きな魅力の一つです。昔からある老舗の味と、新しいスイーツのような味。両方食べたいんですよね。神戸でしたか、若い女性が食べているイチゴの串にチャレンジしました。昔のりんご飴(あめ)みたいに水飴で固めてあって、おいしそうなので食べてみようと。京都では、細い路地に入って行ったら若夫婦がやっているお店があって、抹茶のおいしいスイーツを食べさせてもらいました。

京都の路地裏を探訪する。少年時代の記憶が呼び覚まされる

おいしいものがあると、次から次へと食べてしまいますね。おなかがいっぱいになっても、歩くとまた食べられちゃうんです。よく「名物にうまいものなし」なんて言われますけど、実際に行って食べてみないと分からないですよね。やはりその地域ならではの味に出合えますから。

プライベートでは旅行は子どもの夏休みに合わせて、家族で行きます。街歩きの経験が役立っていますよ。沖縄ではおいしいソーキそばの店に案内して喜ばれました。街道っていろんなところへつながっているし、人が流した汗や涙を感じることができるのが街歩きの面白さだと思っています。

話・写真/中山秀征
聞き手/山脇幸二

【番組メモ】
BS11の「中山秀征の楽しく1万歩!街道びより」は毎週火曜20時~20時53分に放送中。北は北海道から南は沖縄まで、グルメや絶景、温かい人情に出合うため、街道沿いの街を1万歩目指して歩きます。

【番組で中山さんが歩いた街(2024年4月30日放送の第29回まで)】
① 鎌倉(神奈川)
② 嵯峨野(京都)
③ 函館(北海道)
④ 那覇(沖縄)
⑤ 小田原(神奈川)
⑥ 長崎(長崎)
⑦ 大原(京都)
⑧ 弘前(青森)
⑨ 神戸(兵庫)
⑩ 日光(栃木)
⑪ 小樽(北海道)
⑫ 宮島(広島)
⑬ 川越(埼玉)
⑭ 日本橋(東京)
⑮ 由布院(大分)
⑯ 奈良(奈良)
⑰ 熱海(静岡)
⑱ 伊勢(三重)
⑲ 博多(福岡)
⑳ 松山(愛媛)
㉑ 名古屋(愛知)
㉒ 洛中(京都)
㉓ 浅草(東京)
㉔ 草津(群馬)
㉕ 彦根(滋賀)
㉖ 大阪ミナミ(大阪)
㉗ 横浜(神奈川)
㉘ 金沢(石川)
㉙ 小豆島(香川)


※記載内容はすべて掲載時のデータです。

(出典:「旅行読売」2024年6月号)
(Web掲載:2024年6月19日)


Writer

山脇幸二 さん

2022年6月に編集部に着任し、8月から編集長。読売新聞の記者時代は27年にわたって運動部でスポーツ取材に明け暮れた。一時は月の半分近くが出張という生活で、旅行しながら仕事しているような状態だった。今やその旅行が仕事になろうとは…。趣味はロック鑑賞で、ライブやフェスに通うことで身も心も若さを保とうと悪あがきする。矢沢永吉さんを尊敬し、ともに歳を重ねていける幸せをかみしめる日々。

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