今も江戸期と同じ道幅 品川宿から旧東海道をそぞろ歩く 品川駅から(2)【駅から歩こう1万歩】
品川神社拝殿
品川富士からベイエリアを望む
今も江戸期と同じ道幅 品川宿から旧東海道をそぞろ歩く 品川駅から(1)【駅から歩こう1万歩】から続く
北馬場参道通りを右に折れ、品川神社に立ち寄ることにした。境内にある富士塚に上ってみたかったからだ。江戸時代、富士山を信仰する人々が、日本各地に富士山を模した人工の山を築いた。中でも品川神社の富士塚は品川富士と呼ばれ、高さ15メートルと、都内でも有数の高さだという。頂上に上がると一気に視界が開け、高層ビルを背景に京急線が走る姿を見下ろせる。富士山は反対方向の大木の先にあり、今は見えない。
品川宿交流館を過ぎると、品川橋のたもとにレトロな交番が見える。1929年に建てられた旧品川警察署品川橋交通待機所だった建物で、国の登録有形文化財だ。今は改修され、品川宿の文化を伝える場として、資料などが置かれている(月・木・土曜の10時~17時)。こうした案内所が点在するのも品川宿の魅力だ。
品川(ほんせん)寺は品川区最古の寺。山門を入ると街道の安全を願って建立された江戸六地蔵1番のお地蔵様が鎮座する。境内には、国指定重要美術品の大梵鐘や樹齢600年の「イチョウの木」がそびえ立っている。
品川宿はこの辺りまで。ゴールまではまだ4キロ以上あるので、勝島運河でひと休みすることにした。近隣の商店街の緑化プロジェクトで、防波堤に花が植えられ、「しながわ花海道(かいどう)」と呼ばれている。運河の先には高速道路を走る車が小さく見え、のんびりした時間が流れる。
旧東海道に戻り、刑場に向かう途中の最後の別れの場所と言われる通称なみだ橋(浜川橋)を渡れば、間もなく八百屋お七も処刑された鈴ヶ森刑場跡。今は隣接する大経(だいきょう)寺の境内に火あぶり用の鉄柱や井戸などが残り、供花台も置かれている。なんとはなしに、手を合わせた。
文/高崎真規子 写真/齋藤雄輝
【モデルコース】
●徒歩距離/約6.3キロ
●徒歩時間/約2時間
品川駅
👟(750メートル)
新八ツ山橋
👟(350メートル)
北品川橋 品川浦舟だまり
👟(400メートル)
丸屋履物店
👟(500メートル)
品川神社
👟(400メートル)
品川宿交流館 本宿お休み処
👟(900メートル)
品川寺
👟(1050メートル)
しながわ花海道
👟(650メートル)
なみだ橋
👟(700メートル)
鈴ヶ森刑場跡
👟(550メートル)
大森海岸駅
立ち寄りたい沿線のスポット
旧東海道品川宿周辺まちづくり協議会が運営。1階には無料休憩所があり、駄菓子も販売している。品川宿の見どころを紹介する観光パンフレットなども置かれている。
■10時~16時/月曜(祝日の場合は翌日)休、年末年始休/京急本線新馬場駅から徒歩5分/TEL03-3472-4772
そば処 宝喜家(ほうきや)
ランチメニューには天丼、かつ丼などの丼とそばのセットもあり、行列のできる街のおそば屋さん。衣がカラッと揚がった天ざる1200円(写真)も人気。
■11時~14時、17時~20時30分(土曜、祝日は~20時)/日曜、第1月曜休/京急本線新馬場駅から徒歩3分/TEL03-3471-8054
品川駅
1872年、新橋―横浜駅間の日本初の鉄道開業とともにできた歴史ある駅。駅名は東海道の宿場町品川宿に由来するが、住所は港区。山手線、京浜東北線などのJRの在来線、東海道新幹線が走り、京浜急行の品川駅も隣接する主要駅だ。新駅ビルの建設や駅直結のタワーの開業なども予定されており、大きく変貌しつつある。
※記載内容はすべて掲載時のデータです。
(出典:「旅行読売」2024年6月号)
(Web掲載:2024年7月2日)