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今も江戸期と同じ道幅 品川宿から旧東海道をそぞろ歩く 品川駅から(1)【駅から歩こう1万歩】

場所
> 品川区
今も江戸期と同じ道幅 品川宿から旧東海道をそぞろ歩く 品川駅から(1)【駅から歩こう1万歩】

品川浦舟だまり。古い家並みと高層ビル群のコントラストが楽しめる

 

400年前に整備された東海道1番目の宿場「品川宿」

五街道の一つ、東海道が日本橋から京都、大阪まで整備されたのは約400年前。品川宿は1番目の宿場である。

品川駅周辺は、今や高層ビルが林立する大都会だが、15分も歩けば新八ツ山橋。踏切を渡ると、旧東海道の入り口だ。「これより南から品川宿」という意の杭が立つ。ここ北品川から鈴ヶ森刑場跡の辺りまでは、道幅も約7メートルと往時のままで、かつての面影も残るという。江戸の旅人気分で歩いてみることにした。

「道幅を約7メートルとしたのは、参勤交代ですれ違えるようにということだと思います。道がくねくねと蛇行しているのは、海岸線に沿っていたから。今は埋め立てられましたが、東側は海だった。だから、東側へ行く道は緩やかな下り坂になっているんです」
こう話してくれたのは、旧東海道品川宿周辺まちづくり協議会の大越章光さんだ。

大越章光さん。北品川出身で大の祭り好き。まちづくりに奔走している
旧東海道品川宿。北品川~鈴ヶ森の約3.6キロは往時の道幅

路地や横丁も大半がそのまま残っている。所々に、小さな歴史案内看板があり、清水が湧く井戸があったから清水横丁と呼ばれるようになった……といった簡単な解説が書かれているので、読みながら歩くといっそう楽しい。「品川宿本陣跡」など、石の道標も数多く立つ。

御殿山下台場跡。台場の石垣だった真鶴石と第2台場の灯台のレプリカがある
虚空蔵横丁に残る煉瓦塀。裏路地には多くの寺が点在、耐火のためかレンガ造りの寺もある

さわやか信用金庫の角を左に折れると屋形船や釣り船が係留された「品川浦舟だまり」がある。今は漁業権を放棄したが、かつては海苔の産地だったという。北品川橋に立って眺めると、昔ながらの古い家並みの向こうに高層ビル群がそびえる。時の流れを一望するようで、なんともいえない光景だ。

旧東海道に戻りしばらく歩くと、いかにも味のある古い建物が目に入った。創業150年余りの丸屋履物店だ。店内をのぞくと下駄や草履の台と鼻緒が別々に並んでいる。好きな台と鼻緒を選ぶと、その場で足に合わせてすげて(取り付けて)くれる。台の材質やデザインも多種あり、和装だけでなく、涼しそうだから洋装で夏に履いてみたいというニーズもあるそうだ。

「海はすぐそこでしたから、船が着いて品物も豊富に入ってくる。人通りが多ければ店も増える。すごいにぎわいだったと思います」
6代目の榎本英臣さんは、品川宿についてこう話す。江戸の頃、品川宿は、旅人の往来だけでなく、近隣の人たちも訪れる有数の歓楽街だった。遊郭もあり、履物店や呉服店なども多かったという。店に並んだ粋で鮮やかな鼻緒を見ながら、江戸のにぎわいに思いをはせた。

丸屋履物店店内
6代目の榎本英臣さん

文/高崎真規子 写真/齋藤雄輝

今も江戸期と同じ道幅 品川宿から旧東海道をそぞろ歩く 品川駅から(2)【駅から歩こう1万歩】へ続く

【モデルコース】

●徒歩距離/約6.3キロ
●徒歩時間/約2時間

品川駅
 👟(750メートル)
新八ツ山橋
 👟(350メートル)
北品川橋 品川浦舟だまり
 👟(400メートル)
丸屋履物店
 👟(500メートル)
品川神社
 👟(400メートル)
品川宿交流館 本宿お休み処
 👟(900メートル)
品川寺
 👟(1050メートル)
しながわ花海道
 👟(650メートル)
なみだ橋
 👟(700メートル)
鈴ヶ森刑場跡
 👟(550メートル)
大森海岸駅

丸屋履物店

1865年創業の老舗の履物店。店内には下駄の台と鼻緒が並べられ、好みの台と鼻緒を選び、その場で足に合わせて鼻緒をすげてくれる。
■9時~19時/日曜休/京急本線北品川駅から徒歩3分/TEL03-3471-3964
公式サイトはこちら


品川駅

1872年、新橋―横浜駅間の日本初の鉄道開業とともにできた歴史ある駅。駅名は東海道の宿場町品川宿に由来するが、住所は港区。山手線、京浜東北線などのJRの在来線、東海道新幹線が走り、京浜急行の品川駅も隣接する主要駅だ。新駅ビルの建設や駅直結のタワーの開業なども予定されており、大きく変貌しつつある。

※記載内容はすべて掲載時のデータです。

(出典:「旅行読売」2024年6月号)
(Web掲載:2024年7月1日)


Writer

高崎真規子 さん

昭和の東京生まれ。80年代後半からフリーライターに。2015年「旅行読売」の編集部に参加。ひとり旅が好きで、旅先では必ずその街の繁華街をそぞろ歩き、風通しのいい店を物色。地の肴で地の酒を飲むのが至福のとき。本誌連載では、大宅賞作家橋本克彦が歌の舞台を訪ねる「あの歌この街」、100万部を超える人気シリーズ『本所おけら長屋』の著者が東京の街を歩く「畠山健二の東京回顧録」を担当。著書に『少女たちはなぜHを急ぐのか』『少女たちの性はなぜ空虚になったか』など。

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