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伊能忠敬の古里から佐原河畔の大鳥居まで歩く 佐原駅から【駅から歩こう1万歩】

場所
> 香取市
伊能忠敬の古里から佐原河畔の大鳥居まで歩く 佐原駅から【駅から歩こう1万歩】

津宮河岸に高さ約9㍍の香取神宮一の鳥居が立つ。近くには1769年建立の常夜灯もある

 

北総の小江戸・商家町「佐原」

伊能忠敬が地理学者・測量家になるのに大きな影響を与えた佐原は、「北総の小江戸」といわれてきた商家町だ。成田線佐原駅を降りると、駅前で忠敬の銅像が迎えてくれた。駅から真っすぐ進むと佐原公園。公園入り口には没後100年を機に1919年に造られた忠敬の銅像が立っている。近くに、ユネスコの無形文化遺産に登録された秋祭り(山車行事)が開催される諏訪神社が鎮座する。諏訪神社を参拝し、古い町並みへと向かう。

途中、香取街道の左手に東薫(とうくん)酒造、馬場本店酒造の2軒の造り酒屋がある。米と水に恵まれた佐原の酒造りは、伊能家が酒造株を得て始まったと伝えられている。

利根川の支流・小野川と香取街道を中心に連なる古い家並みは、1996年、関東で最初に重要伝統的建造物群保存地区に選定された。伊能忠敬旧宅や伊能忠敬記念館もここにある。舟運で栄えた佐原は、米などを小野川から舟に乗せ、利根川に出て江戸へと運んだ。小野川沿岸の「だし」と呼ばれる荷揚げ用の階段は積み下ろしをした名残だ。

定時に水が流れ落ちる樋(とよ)橋たもとの「だし」から小野川を巡る舟が発着する

水運だけではなく、陸運でも佐原はにぎわった。保存地区を通る香取街道(県道55号)は香取神宮や鹿島神宮の参詣者たちが往来。俗謡に「江戸優(まさ)り」と唄われ、各地から訪れる旅人たちによって、忠敬は様々な刺激を受けたのではないだろうか。

木造の建物と重厚な土蔵造りの建物、さらに洋風建築が混在する町並みを眺めながら、小野川に沿って北へ歩みを進める。

寄せ棟や妻入屋根の町家が小野川沿いに立ち並ぶ。柳が風情を添える

成田線の踏切を越えると、岸から小野川に下りて散策できる小道がところどころに整備されている。国道356号に出て右へ曲がるとじきに、道の駅水の郷さわらが現れる。ここで遅めの昼食をとった。

坂東太郎こと利根川を左に眺めながら堤防に整備されたサイクリングロードを歩く。車が通らず快適だ。やがて大きな鳥居が見えてくる。津宮(つのみや)鳥居と呼ばれる香取神宮の一の鳥居で、舟に乗ってきた参詣者はこの河岸で降り、歩いて香取神宮へと向かった。川幅の広い利根川に面して立つ珍しい鳥居を、涼やかな川風に吹かれながらしばし眺めた。

津宮鳥居からは国道356号を経て、成田線香取駅へ。今回の旅はここで終えるが、余裕があれば足を延ばし、津宮鳥居から約2.7キロ(徒歩約30分)の下総国一之宮の香取神宮にお参りしたい。また、水郷佐原あやめパークでは初夏にあやめ祭りが開かれるので、あわせて訪ねたい。

文・写真/荒井浩幸

【モデルコース】

●徒歩距離/約6キロ
●徒歩時間/約2時間10分

佐原駅
 👟(450メートル)
佐原公園(伊能忠敬銅像)
 👟(220メートル)
諏訪神社
 👟(1000メートル)
伊能忠敬記念館・伊能忠敬旧宅
 👟(1550メートル)
道の駅水の郷さわら
 👟(2000メートル)
津宮鳥居(香取神宮一の鳥居)
 👟(850メートル)
香取駅

道の駅水の郷さわら

  
  

フードコートにある麺屋桃太郎の「野菜たっぷりみそラーメン」960円(写真上)は佐原産を主に県内産のキャベツ、タマネギ、モヤシなどが山盛り。新商品の石田農園のブランド芋「金蜜芋」を使ったソフトクリーム560円(写真下)もおすすめ。直売所では、その場で作る玉子焼き、唐揚げなどが評判。
■8時~18時(麺屋桃太郎は9時~17時30分)/無休/成田線佐原駅から徒歩15分/TEL0478-50-1183
公式サイトはこちら

水郷佐原 あやめパーク

香取市北部に広がり、約8ヘクタールの敷地に約400種、150万本のハナショウブが咲き誇る。水郷佐原あやめ祭りは、5月25日~6月23日に開催。水路が巡らされた園内には島や橋などが点在し、小舟から眺めるハナショウブも趣がある。
■水郷佐原あやめ祭り期間は8時~17時/無休/800円/成田線佐原駅からシャトルバス25分(運行は5月25日~6月16日)/TEL0478-56-0411
公式サイトはこちら


※記載内容はすべて掲載時のデータです。

(出典:「旅行読売」2024年6月号)
(Web掲載:2024年7月4日)


Writer

荒井浩幸 さん

1970年、埼玉県生まれ。旅に関することならジャンルを問わず、オールマイティにこなす、旅行ライター。食欲旺盛で、その「実力?」は特に味の店の連続取材の時にいかんなく発揮される! そして、昼はコーヒーを味わい、夜はお酒をたしなむ。旅とともに国内の民俗に関心をもち、研究もしている。

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