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港町・神戸の絶景と山道の新緑を楽しむ 元町駅から(2)【駅から歩こう1万歩】

場所
> 神戸市
港町・神戸の絶景と山道の新緑を楽しむ 元町駅から(2)【駅から歩こう1万歩】

風見鶏の館。2025年3月31日(予定)まで改修工事中で、館内見学はできない

 

山の散策路を通り布引の滝へ

港町・神戸の絶景と山道の新緑を楽しむ 元町駅から(1)【駅から歩こう1万歩】から続く

古くから海外に目を向けて発展を遂げてきた神戸は、国際色豊かな街である。住宅街の中に姿を現した黄色いレトロな建物は「海外移住と文化の交流センター」だ。1928年に、南米などに日本人移住者を送り出す拠点として開設された。

さらに東へ向かうと異国情緒漂う北野異人館街エリアに入ってきた。風見鶏の館前の北野町広場でひと休みしてから北東へ。このエリアの最北に背山(せやま)散策路と刻まれた石碑がある。坂道を上ると、港みはらし台の看板がかかっており、ここからも街と港が一望できた。イノシシ除(よ)けの防獣フェンス扉を通り抜け、一気に山深くなった。30分ほど前まで市街地を歩いていたのがうそのようで、神戸の自然の奥深さを実感する。

背山散策路の途中にある港みはらし台。北野異人館越しに街や海が広がる
背山散策路では、布引ハーブ園のロープウェイの真下も通る

頭上に布引ハーブ園のロープウェイが見え、乗客と笑顔で手を振り合った。山の中に新神戸駅のアナウンスが聞こえ、木々の合間から駅に発着する新幹線の車両を見下ろすことができた。さらに歩くと布引の滝へ通じるハイキング道へ出た。

「日本の滝百選」に選ばれている布引の滝は四つの滝の総称で、今回は最上流にあり最も大きな雄滝(おんたき)を目指す。レンガ造りの三連アーチが印象的な布引水路橋(砂子橋<いさごばし>)を渡り、生田(いくた)川の渓谷沿いを歩く。上り坂が続くが、清流や新緑に癒やされる。やがて高さ43メートルの迫力ある雄滝が見えた。滝つぼに近づくと水しぶきが気持ちいい。

布引の滝の雄滝。雨が降った翌日は水量が多く見応えがある

ここから急坂を上がるとおんたき茶屋だ。庶民的な雰囲気ながら1914年創業の歴史を誇り、作家の司馬遼太郎ら著名人も訪れたとか。「新神戸駅から徒歩15分の所にこんな自然豊かな場所があると皆さん驚かれますよ」と4代目店主の山口公子(きみこ)さん。目の前の雄滝を見ながら夏季限定の冷やし山菜とろろ蕎麦(そば<880円>)を味わった。

「当店は『ミシュラングリーンガイドジャポン』の一つ星を獲得しています」とおんたき茶屋の山口公子さん

腹ごしらえを終えると、みはらし展望台で港町を見渡し、最終目的地の竹中大工道具館へ。日本が誇る木造建築を支えてきた職人の技と精神を学び、三ノ宮駅へ向かった。神戸の高台を西から東へ歩いた旅は、港町の絶景だけでなく、自然や歴史の魅力にもあふれていた。

竹中大工道具館

文/児島奈美 写真/宮川 透

【モデルコース】

●徒歩距離/約7.4キロ
●徒歩時間/約3時間

元町駅
 👟(700メートル)
相楽園
 👟(500メートル)
金星台
 👟(100メートル)
諏訪神社
 👟(200メートル)
ビーナスブリッジ
 👟(100メートル)
ビーナステラス
 👟(1600メートル)
風見鶏の館
 👟(1500メートル)
布引の滝
 👟(100メートル)
おんたき茶屋
 👟(1000メートル)
竹中大工道具館
 👟(1600メートル)
三ノ宮駅

新緑がまぶしい!

おんたき茶屋

  

雄滝を見下ろす高台に立つ老舗茶屋。だしの利いたおでんは夏場も人気。そばやオリジナルスイーツ、ちょい飲みセットなども楽しめる。
■11時~17時(土・日曜、祝日は10時~)/木曜休(祝日の場合は営業)/山陽新幹線ほか新神戸駅から徒歩15分/TEL078-241-3484
公式サイトはこちら

竹中大工道具館

大工道具や触って学べる木組みなど約1000点の資料を展示。国宝の唐招提寺金堂(とうしょうだいじこんどう)の柱と屋根の原寸大模型は迫力満点。
■9時30分~16時/月曜(祝日の場合は翌日)休、年末年始休 /700円/山陽新幹線ほか新神戸駅から徒歩3分/TEL078-242-0216
公式サイトはこちら


元町駅
大阪─神戸駅間の東海道線が開業した1874年、この場所には三ノ宮駅が設置されたが、1931年に約600メートル東に離れた現在地に移転。しかし、地元から元の場所にも駅がほしいとの声が上がり、34年に元町駅が誕生した。現在は地上に東海道線、地下に阪神本線が通っている。

※記載内容はすべて掲載時のデータです。

(出典:「旅行読売」2024年6月号)
(Web掲載:2024年7月15日)


Writer

児島奈美 さん

神戸生まれ。学生時代にバイクで北海道、九州、信州を巡って旅に目覚め、約40か国渡航。1か月のキャンプ旅でも太って帰ってくる食いしん坊で、現在は、旅・グルメ・人物インタビューを中心に、ガイドブックや雑誌、Webなどの制作に携わる。「旅行読売」ではルポがメイン。鉄子や歴女の道も着々と歩む。

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