【旅する喫茶店】エビアンコーヒー(神戸)
カウンターのサイフォンで淹れるスタイルは創業時から同じ
神戸で自家焙煎のサイフォン式の先駆け
神戸開港時からの繁華街、元町商店街の路地に1952年に創業したエビアンコーヒーは、関西でいち早く自家焙煎のサイフォン式を提供し、コーヒー党に愛される人気店だ。
「貿易関係の仕事をしていた父は、コーヒーが好きで知識も豊富でした。当時まだあまり普及していなかった本格的なコーヒーを、気軽に飲んでほしいと始めました。海外になじみのある貿易会社や船会社の社員さんが大勢通ってくれたそうです」と2代目オーナーの鎌田良司さんは話す。
約50年前に改装した店は歴史を感じさせる佇(たたず)まい。神戸の洋家具店で特注した濃緑色の革張りのイスやテーブルは、創業時から手入れをしながら大切に使っているという。
「サイフォンは、まとめて淹(い)れた方が味が良く、次々に来店する常連客に素早く対応するため、一度に5杯たてます」と鎌田さん。客足を見ながら淹れたてにもこだわる。ブレンドは、モカとコロンビアをメインに5種の豆を週1、2回自家焙煎する。酸味と苦味はソフトながら、濃厚な抽出で味わい深い。そのままでもミルクを入れてもおいしかった。
神戸の老舗「イスズベーカリー」のパンを使ったサンドイッチや、シフォンケーキなど自家製スイーツも人気だ。観光前の朝食や買い物途中の休憩に立ち寄れば、この町らしいハイカラな雰囲気と、歴史ある喫茶店のこだわりの一杯を味わえる。
文・写真/児島奈美
兵庫県神戸市中央区元町通1-7-2
TEL:078-331-3265
営業:8時30分~18時30分(日曜、祝日は9時~18時)/水曜(祝日の場合は翌日)休
交通:東海道線、阪神電鉄本線、神戸高速線元町駅から徒歩2分
※記載内容は掲載時のデータです。
(出典:「旅行読売」2024年7月号)
(Web掲載:2024年8月30日)