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新たな避暑地に注目!千葉県勝浦市で涼しい夏旅【日本の涼景】

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新たな避暑地に注目!千葉県勝浦市で涼しい夏旅【日本の涼景】

かつうら海中公園。沖合60メートルに海中展望塔が立ち、水深8メートルの海中が観察できる

 

勝浦市の気温は周辺地域より低いとSNSで話題

少しでも涼しい夏旅をしたければ、緯度か標高の高い場所を目指すのがセオリーだろう。しかし近年注目を集める避暑地は、東京より南東の沿岸部にある。千葉県勝浦市。太平洋に面したリゾート地として知られ、都心から車で1時間半とアクセスの良さも魅力だ。避暑地として認識されたのは、記録的な猛暑となった2022年夏のことだった。

勝浦市の気温は周辺地域より低い、という事実が気象予報士のTwitter(現在のⅩ)の投稿やテレビ番組で周知され、SNSで話題に。その後、各種メディアで報道され、涼を求めて多くの旅行者が勝浦を訪れた。

涼風が吹くロケーション

ここで、勝浦の涼しさをデータで確認しておこう。記録が残る1906年以降の最高気温は34.9度(1924年8月)。つまり100年以上にわたり、猛暑日(35度以上)を記録したことがない。昨年を振り返ると、東京都心では7月26日に最高気温37.7度を記録しているが、勝浦は7月17日の34.5度が最高。また真夏日(30度以上)の日数が少なく、朝晩が涼しいのも特徴で、7・8月の平均気温は別表のとおり。

  

ではなぜ、勝浦は周辺地域と比べて気温が低いのだろうか?

「勝浦市は特に南南西からの海風が入りやすく、沿岸の海底は急に深くなっています。下層の冷たい海水が海中で巡回し、南風が低温の海水で冷やされる。そのためほかの地域よりも冷たい海風が吹き込み、気温が低くなっていると考えられます」

そう解説してくれたのは勝浦市観光協会の麻生遥佳(はるか)さん。ポイントは海底の地形と風の流れにあったのだ。市内は森林が多いため、ヒートアイランド現象も起きにくいという。

勝浦の気候に慣れている麻生さんにとってみれば、報道を見て避暑に訪れた旅行者が車から降りて「やっぱり涼しいね」と感激したり、長期滞在をして「勝浦は過ごしやすい」と喜ぶ姿は印象的だったそう。

涼を感じられる過ごし方について尋ねると、「海風が当たると涼しく感じるので、岬の絶景スポットである鵜原(うばら)理想郷や八幡(はちまん)岬公園などをおすすめします」とのこと。勝浦駅から徒歩5分のKAPPY(カッピー)ビジターセンターでレンタサイクルを借り、海沿いの道を走ると爽快だろう。

  

涼しく楽しく夏旅を満喫

避暑であれば数日は滞在したいが、参考までに1日の観光プランを。

朝は勝浦朝市を訪れ、新鮮な食材の買い物や食べ歩き、地元の人との交流を楽しむ。続いて朝市通りの近くにあるパワースポット・遠見岬(とおみさき)神社を参拝。本殿へと向かう道中には勝浦市街と海を見渡せる展望スポットがある。勝浦中央商店街で勝浦タンタンメンや海産物などの昼食を取り、午後はかつうら海中公園へ。22年7月にオープンした滞在型観光施設・edén(エデン)のスパで癒やしのひと時を過ごす。締めくくりに鵜原理想郷のハイキングコースを歩き、潮風を受けつつ岬からの絶景を眺めよう。

鵜原海岸の絶景が広がる鵜原理想郷。1周2.3キロのハイキングコースがある
朝どれの魚介類や干物、夏野菜などが並ぶ勝浦朝市。6時30分頃~11時頃、水曜・元日休
edénのスパは内湯やサウナ、屋外プールなどから成る。水着着用で利用
edénのレストランでは地中海料理が楽しめる。人気メニューはパエリア2500円~

思わぬ形で避暑地として注目を集めた勝浦市。麻生さんは「年間を通して過ごしやすい気候なので、勝浦で生活したいと思う方が増えたらいいなと思っています。ワーケーションや2拠点生活も勧めたいですね」と意気込む。まずはこの夏、勝浦の涼しさを体感してみては?

文/内山沙希子


KAPPYビジターセンター

営業:8時30分~17時15分/年末年始休
交通:外房線勝浦駅から徒歩5分
住所:勝浦市墨名815-56
問い合わせ:TEL0470-73-2500(勝浦市観光協会)


edén(かつうら海中公園滞在型観光施設)

営業:スパ10時~19時、レストラン11時~20時(ともに10月~6月は~17時)/無休
料金:スパ1時間2000円~
交通:外房線鵜原駅から徒歩15分
住所:勝浦市吉尾272 勝浦海中公園内
問い合わせ:TEL0470-64-6377(スパ)、TEL0470-64-6370(レストラン)

※記載内容はすべて掲載時のデータです。

(出典:「旅行読売」2024年8月号)
(Web掲載:2024年9月20日)


Writer

内山沙希子 さん

京都生まれ。本や雑誌を作る仕事を求め、大学在学中に上京。その後、美術館やレストラン、温泉宿、花名所、紅葉名所等のガイドブックを中心に、雑誌や書籍の企画・編集に携わる。2017年頃から月刊「旅行読売」で原稿の執筆を開始。「旅行読売」での取材を通して、鉄道旅に目覚めるかどうかは未知数。

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