世界最大級のロープウェイで雲上の別世界へ 北志賀高原【日本の涼景】(1)
SORA terraceからの眺め。眼下に見える山は高社山(こうしゃさん)
眼下に広がる雲海、幻想的な風景が人気の避暑地
長野県の北志賀高原に「竜王マウンテンリゾート SORA terrace(ソラテラス)」ができたのは10年ほど前のことだ。山麓から標高1770メートルの山頂までロープウェイでわずか10分。気象などの条件が合えば、眼下には雲海が広がり、幻想的な風景を眺められると一躍人気スポットになった。聞けば、標高が高いので、真夏でも20度を超える日は少ないという。避暑地の絶景を味わいたくなって、北陸新幹線に乗った。
飯山駅で降りてレンタカーを借り、約25分で竜王マウンテンリゾートの駐車場に着く。世界最大級の166人乗りのロープウェイに乗り、山頂に到着するとすぐ、急斜面にせり出すように立つテラスが目に入った。テラスの端に立つと、はるか先に白馬三山、妙高(みょうこう)山や黒姫(くろひめ)山などの北信五岳(ごがく)と雄大な山々がそびえる。くっきりとした稜線がなんとも美しい。まれに日本海や佐渡島まで見えることもあるそうだ。
眼下に目をやれば、高井富士とも呼ばれる高社山(こうしゃさん)が横たわっている。まさに雲の上から下界を眺めている気分。心も体も解放され、爽快感に満たされる。
名物の雲海は、夕方発生することが多いという。
「テラスの正面に日が沈むので、条件が合えば日没の1~2時間前にオレンジ色に染まった雲海が見られます。ほかではあまり見られない、ここならではの景色です」
竜王マウンテンリゾートの竹内崇世(しゅうせい)さんは誇らしげにそう話す。山に囲まれ雲が流れにくく、夕立も多いなど雲海が発生しやすい立地で、同社調べでは2023年の発生率は62.5%とのこと。7月~9月は特に発生率が高いそうだ。
随所に見られる心憎い演出も、SORA terrace の大きな魅力だろう。テラスの真ん中に雲の形のプレートが設置され、家族やカップル、ペット連れの人たちが、代わる代(が)わる記念撮影をしている。土・日曜、祝日には1日に2回、シャボン玉発生機が設置され、絶景のテラスにシャボン玉が舞う。格好の〝映ば えスポット〟の出現に、若者たちの歓声が響く。
山頂エリアは、もともと高山植物が自生していた場所で、さらに四季のハーブを植えて可愛(かわい)らしいハーブガーデンとして整備している。童話の中の小径(こみち)ちのようで散策も楽しい。
テラスに隣接したカフェには、テーブル席のほかにソファも置かれ、ゆったり過ごせる。広いガラス張りの窓際のカウンター席にはコンセント電源もあり、山頂でもWi-Fi が通じるなど至れり尽くせり。
飲み物片手に絶景を楽しんで帰るもよし。所々に設置されたハンモックやパラソル付きのテーブルでたたずむもよし。山の景色は刻一刻と変化するので飽きることがない。霧で真っ白になったかと思うと、すーっと引いていき、青空が見え山々の緑が姿を現すさまを見ていると、別世界にいるようで、日常の喧騒(けんそう)も暑さも忘れる。
7月~9月は月に2、3回、星空ナイトクルーズを開催する。ロープウェイの運行を上り20時40分発まで延長し、20時には山頂のライトをできる限り消して星空が見えやすい環境を演出する。
ロープウェイ山麓駅の近くにはグランピングエリアもあり、丸1日自然の中で過ごすこともできる。
文/高崎真規子 写真/齋藤雄輝
世界最大級のロープウェイで雲上の別世界へ 北志賀高原【日本の涼景】(2)へ続く(9/2公開)
ソラグランピングリゾート
竜王マウンテンリゾート内にあるグランピング施設。標高約1100メートルのゲレンデの斜面を段々畑のように造成し、豪華な内装のドームテントを配置。夕食のメインはバーベキュー。テント横のデッキにはハンモックもあり、満天の星を満喫できる。宿泊者はSORA terraceへ続くロープウェイに乗り放題。
■竜王マウンテンリゾートのグリーンシーズンのみ営業/1泊2食1万8800円~/長野電鉄湯田中駅から無料シャトルバス25分/上信越道信州中野ICから18キロ/TEL0269-33-6345(竜王マウンテンリゾート)
竜王マウンテンリゾート
営業:2024年グリーンシーズンは4月27日~11月4日。冬季は要問い合わせ。営業時間はSORA terrace9時~19時(9月30日~11月4日は~18時)、施設により異なる/9月2日~6日休(臨時休あり)/ロープウェイ往復2400円~
交通:長野新幹線長野駅から長野電鉄特急45分の湯田中駅下車、無料シャトルバス25分(運休期間あり)/上信越道信州中野ICから18キロ
住所:山ノ内町夜間瀬11700
問い合わせ:TEL0269-33-6345
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※記載内容は掲載時のデータです。
(出典:「旅行読売」2024年8月号)
(Web掲載:2024年9月1日)