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いざ冒険映画の世界へ!幻想的な地下空間で涼む 大谷資料館(2)【日本の涼景】

場所
> 宇都宮市
いざ冒険映画の世界へ!幻想的な地下空間で涼む 大谷資料館(2)【日本の涼景】

地下採掘場跡は映画、テレビ、プロモーションビデオなどのロケ地やコンサート会場としても人気が高い

 

真夏でも寒いほどの地下空間

いざ冒険映画の世界へ!幻想的な地下空間で涼む 大谷資料館(1)【日本の涼景】から続く

大谷資料館の駐車場から坂道を上る。途中、冷風に顔をなでられた。周囲を見回すと岩穴があり、冷風が吹き出しているようだ。この先の涼しさに期待が高まる。

「地下採掘場跡へは30メートルほど階段を下ります。地下の平均気温は7・8月でも15度前後ですから、涼しいを通り越して寒いくらいです」

そう笑う館長の大久保恭利(やすとし)さんに背中を押されて地下採掘場跡へ。階段を下りると突然、地下神殿のような景色が広がった。何度見ても圧倒され、冒険映画の世界に迷い込んだようで心が躍る。

夏でも上着を忘れずに!館長の大久保恭利さん

壁面に注目すると、江戸中期から59年まで続いた手掘り時代のツルハシの跡や、それ以降の機械掘りの跡が見られる。大谷石は1500万年〜2000万年前の緑色凝灰岩(ぎょうかいがん)で、軟らかくて加工しやすく火に強い。一方、力任せに掘ると割れてしまうため、六十石(ろくとういし<厚さ18センチ×幅30センチ×長さ90センチ>)1本を採掘するのに、ツルハシを4000回も振る必要があったそうだ。

地下採掘場が稼働したのは1919年から約70年間で、なんと野球場一つ分の地下空間を作り出している。人間の粘り強さとたくましさには感服する。

大谷石の運搬に使用されたトロッコ(人車)
地下採掘場跡の人形。手彫り作業の様子を再現している
展示室では大谷石の採掘方法や道具などを紹介

写真を撮りながら一周すると2時間近く経過していた。さすがに寒くなり地上へ上がる。体の芯まで冷えたようで入館前より外気を暑く感じる。資料館前のカフェ&ショップ「ROCKSIDE MARKET(ロ ックサイド マ ーケット)」で、アイスコーヒーをゴクリ。7月下旬からは日光天然氷のかき氷を提供するという。地下空間で涼み、地上のかき氷でダメ押しする。とことん涼しい旅が楽しめそうだ。

文・写真/内田 晃

ROCKSIDE MARKET

口の中でふわりと溶ける日光天然かき氷は、イチ ゴミルク(写真)、キャラメルミルクティー、黒みつきなこの3種。各1000円
(上)吸水性が抜群の大谷石コースターは5色あり、各880円(下)大谷ラスク1200円はシュガー、 メープル、イチゴチョコの三つの味が楽しめる

栃木県全体の魅力や楽しさをスイーツ、フード、工芸品などを通じて発信するカフェ&ショップ。栃木県産の食材を使ったランチはパスタ、肉料理など3種から選べる。
■9時30分〜17時(フードは〜16時30分、ランチは11時〜15時)/大谷資料館の休館日に準じる/東北新幹線宇都宮駅からバス30分、資料館入口下車徒歩5分/TE028-688-8604
公式サイトはこちら


大谷資料館
営業:9時〜16時30分(12月〜3月は9時30分〜16時)/無休(12月〜3月は火曜〈祝日の場合は翌日〉休)/800円
交通:東北新幹線宇都宮駅からバス30分、資料館入口下車徒歩5分/東北道宇都宮ICから8キロ
住所:宇都宮市大谷町909
問い合わせ:TEL028-652-1232

※記載内容は掲載時のデータです。

(出典:「旅行読売」2024年8月号)
(Web掲載:2024年9月23日)


Writer

内田晃 さん

東京都足立区出身。自転車での日本一周を機に旅行記者を志す。四国八十八ヵ所などの巡礼道、街道、路地など、歩き取材を得意とする。著書に『40代からの街道歩き《日光街道編》』『40代からの街道歩き《鎌倉街道編》』(ともに創英社/三省堂書店)がある。日本旅行記者クラブ会員

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