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紅葉の名所、“三尾”の名刹を訪ねる

場所
> 京都市
紅葉の名所、“三尾”の名刹を訪ねる

高山寺の石水院南縁から眺める庭園。屏風絵を見ているかのように美しい

 

京都市の北西にそびえる愛宕山(あたごやま)から東に連なる高雄、栂尾(とがのお)、槙尾(まきのお)の3つの尾根は「三尾(さんび)」と呼ばれ、それぞれ高雄山神護寺、槇尾山西明寺(さいみょうじ)、栂尾山高山寺(こうさんじ)がある。三尾は日本の真言密教の発祥の地であり、貴重な文化財が今も伝えられる。さらに京都屈指の紅葉の名所として知られ、秋は大勢の観光客や写真家が訪れる。

1300年ほど前、天皇の勅命を受けた和気清麻呂(わけのきよまろ)によって愛宕山を中心に、5つの寺院が建立された。その中の一つだった高雄山寺が、神護寺の始まりと伝わる。唐から戻った弘法大師空海はこの地に住持し、日本の真言密教の出発点とした。以来、神護寺は高野山真言宗の遺迹本山(ゆいせきほんざん)として信仰を集める。境内の伽藍から、さらに石段を上ると泰然と構えた本堂の金堂が現れる。荘厳な内部には本尊で国宝の薬師如来立像と、脇侍に日光・月光菩薩像(重文)が並ぶ。境内の西にある地蔵院からは錦秋の錦雲峡を望む。峡谷に厄除けなど願をかけながら素焼きの皿を投げる「かわらけ投げ」は、この寺の名物だ。

金堂から望む五大堂と毘沙門堂。山の中腹とは思えないほど境内は広大だ

神護寺麓の高尾橋から清滝川沿いに遡ると、西明寺の参道入口である指月橋にたどり着く。空海の甥で高弟(こうてい)である智泉(ちせん)が修行道場として創建したと伝わる。モミジの渓谷を眺めつつ橋を渡ると山門、そして江戸幕府五代将軍徳川綱吉の生母・桂昌院の寄進によって再興された本堂が現れる。堂内には本尊の釈迦如来像(重文)のほか、千手観世音菩薩像(重文)、愛染明王像など多数の仏像を安置。本堂右手にある聖天堂は、秘仏の歓喜天(かんぎてん)を祀る。拝殿前には大根と御団(おだん)の紋が染められた白幕が。大根は夫婦和合、家庭円満を表し、御団は金運授与、商売繁盛をご利益として授ける歓喜天の誓願を表しているという。参拝客に人気なのが、聖天堂の「倍返りお守り」。お金に感謝しながら使うと、倍になって返ってくるという開運のお守りだ。

西明寺の参道入口にある指月橋。渓谷のせせらぎと紅葉に癒されながら散策を
元禄年間に造営された西明寺の聖天堂。お守りで歓喜天のご利益を授かろう

西明寺からさらに清滝川上流に位置するのが高山寺だ。創建は奈良時代に遡り、途中荒廃したが、鎌倉時代に明恵(みょうえ)上人が後鳥羽上皇よりこの地を賜り、中興した。日本最古の漫画といわれる「鳥獣人物戯画」や「明恵上人樹上坐禅像」など、国宝・重文の貴重な美術品を所有する。境内の石水院(国宝)は明恵上人時代の唯一の遺構で、鎌倉時代の様式をなす。南縁からは一面に広がるモミジや、川向うにそびえる山々を眺望。また日本の“お茶の発祥の地“といわれ、境内には「日本最古之茶園」の碑が立つ。

栄西禅師が贈った茶種が、日本の茶園の始まりといわれる


京都浪漫悠久の物語「秋の高雄 写真家と訪ねる紅葉の名刹」
2024年11月11日(月)よる8時~8時53分 BS11にて放送

京都画報 テーマ「日本画が息づく暮らし」
出演:常盤貴子 2024年11月13日(水)よる8時~8時53分 ※内容は変更の場合あり

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(Web掲載:2024年11月8日)


Writer

旅行読売出版社 メディアプロモーション部 さん

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