比叡山延暦寺の特別公開を巡る秋
釈迦堂(転法輪堂)に安置されている本尊・釈迦如来立像のお前立ち
京都府と滋賀県の境に位置する比叡山延暦寺。天台宗の祖・伝教(でんぎょう)大師最澄が分け入ったのは今から1200年以上前。後に根本中堂となる小さな堂宇を建立したのが始まりだ。今年は比叡山延暦寺が「古都京都の文化財」の一つとして、世界文化遺産に登録されてから30年。それを記念して山内の寺院では、通常では見られない秘仏などを特別公開している。東塔(とうどう)、西塔(さいとう)、横川(よかわ)の三つのエリアに分かれる寺域は、東京ドーム約360個分という広さ。麓の駅から山頂までシャトルバスが運行しているので、効率よく回りたい。
西塔地区の釈迦堂では内陣の特別公開と、本尊で秘仏・釈迦如来立像の御開帳を実施。最澄が自ら彫ったといわれる釈迦如来立像は7年ぶりの公開で、貴重な姿を拝むことができる。秘仏の公開に合わせ、普段は入れない内陣への立ち入りも可能に。期間中は、プロジェクションマッピングや和ろうそくを使い、幻想的な仏の世界観を創り出す(12月8日まで)。また、この期間限定で特別御朱印の授与も行っているのでお見逃しなく。
東塔地区の国宝殿では、秋季特別展「比叡山と平安京」を開催(前期10月5日 〜30日、後期11月2日〜12月1日)。平安京の鬼門を守った延暦寺は朝廷との結びつきが強く、数多くの仏像や平安京に関連する寺宝を所蔵する。今回は関連寺院の貴重な文化財も一堂に会し、展示される。東塔を巡った後は、延暦寺会館の1階にある喫茶「れいほう」で休憩を。人気メニューの「守り本尊 開運梵字ラテ」は、生まれ年の干支を伝えると、その干支の守り本尊の梵字が描かれたカフェラテや抹茶ラテが楽しめる趣向。琵琶湖の景色を眺めながら、ゆったりと。
横川地区の本堂となる横川中堂では、本尊・聖観音菩薩像を特別公開( 10月26日〜11月24日)。内陣に通路を設け、本尊や脇侍をいつもより近くから拝むことができる。舞台造りになった建物は遣唐使船をモデルにしており、船が浮かんでいるように見えるのが特徴。