【旅する喫茶店】川越アートカフェエレバート(川越)
100年以上の歴史を感じられる店内。多くのアート作品を展示
文化財の洋館で味わう歴史と地ビール
蔵造りの町並みが人気の小江戸·川越で、ひときわ目を引くモダンな洋風建築が市の有形文化財「田中家住宅」だ。この2階建ての洋館の棟上げは1915年。戦前は舶来の銃砲(じゅうほう)や珍しい輸入自転車の販売店、近年は美術館として地域で親しまれてきた。
大正期の貴重な建物の活用を相談されたオーナーの坂本進さんが、川越のクラフトビール「COEDO(コエド)」を気軽に楽しめるカフェにと2007年に「エレバート」を創業した。
大正のモダンガールが自転車を眺めたであろう大きなショーウィンドーの向こうは、今はビールサーバーが並ぶ華やかなカフェカウンター。
少し急な回り階段で2階に上ると、蔵造りの特徴を色濃く残す空間が広がる。黒々とした太い梁(はり)が天井を縦横に巡り、レトロなガラス窓からは歴史的な街並みを眺められる。
「建物が目当てのお客様や、海外の方も少なくありません」と店員の野呂真里子さんは誇らしげに言う。
コーヒーとの相性抜群のドルチェは、隣接する姉妹店のすし職人が手掛ける逸品ばかり。一番人気の「自家製さつまいもプリン」は、濃厚な卵のコクとイモの甘みが絶妙だ。野呂さんのおすすめは「玉子サンド」。板前特製のだし巻き玉子がフワフワのパンに贅沢(ぜいたく)に挟まれ、重厚なクラフトビールのおともにピッタリの味。川越の町歩きに疲れたら寄りたい素敵なカフェを見つけた。
文・写真/阪口克
埼玉県川越市仲町6-4
TEL:049-222-0241
営業:11時30分~L.O.17時30分/毎週水曜と第3木曜休
交通:川越線・東武東上線川越駅から徒歩20分、または西武新宿線本川越駅から徒歩10分
※記載内容は掲載時のデータです。営業時間、料金は変更になる場合があります。
(出典:「旅行読売」2024年11月号)
(Web掲載:2025年1月9日)