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【旅する喫茶店】夏への扉(青梅)

場所
> 青梅市
【旅する喫茶店】夏への扉(青梅)

ノスタルジックで居心地の良い店内。建物のすぐ横に青梅線の線路がある

 

レトロな街・青梅の隠れ家喫茶

JR青梅線の小さな跨 線橋(こせんきょう)を渡った先に喫茶店「夏への扉」はある。

店名を聞いて、本好きな人ならすぐにピンとくるだろう。アメリカのSF作家ハインラインの代表作の名前だ。創業は1989年。青梅市内の自然食レストランで働いていた山田勝一(しょういち)・ふみ子さん夫妻が開いた。

「オープン前の片付けで戸を開けたら、『夏への扉』と書かれた看板が落ちていた」と笑う勝一さん。実はそれは、以前この古い建物で営業していたカフェの看板だった。SF小説好きの勝一さんは運命的なものを感じ、この店名を引き継ごうと決めたそうだ。

和洋折衷のレトロな建物は、昭和初期に建てられた元医院。木枠の窓から柔らかな日が差し込み、店の中はノスタルジックな空気に満たされている。天井でカラカラと回るシーリングファンの音が心地よい。

山田さん手作りの大きな黒猫の看板が目印
店内奥には、秘密基地のような個室スペースもある

料理は自然食にこだわる勝一さんが食材を厳選して作る。たっぷりのタマネギをコトコトと煮込んだ一番人気の野菜カレーは、モチモチ食感の玄米ご飯と合わせていただく。なじみの自家焙煎(ばいせん)豆の店から仕入れ、丁寧にネルドリップしたコーヒーは、甘さ控えめのケーキと相性がいい。

開け放たれた窓から気持ちの良い風が吹き抜けてゆく。窓下の線路をガタゴトと通り過ぎる電車を眺めながら、のんびりとした贅沢(ぜいたく)な時間を楽しんだ。

文・写真/阪口克

人気の野菜カレーはサラダ付きで1000円。+400円でコーヒーか紅茶がセットに

夏への扉

東京都青梅市住江町16
TEL:0428-24-4721
営業:10時~L.O.17時30分/月・火曜休
交通:青梅線青梅駅から徒歩4分

※記載内容は掲載時のデータです。営業時間、料金は変更になる場合があります。

(出典:「旅行読売」2024年9月号)
(Web掲載:2024年10月3日)


Writer

阪口 克 さん

奈良県出身。航空会社機内誌や、多くのアウトドア雑誌で取材と撮影を担当する。オーストラリア大陸1万2000キロを自転車で一周し、帰国後フリーランスに。自宅は家族・友人とDIYで建築。旅と自然の中の暮らしをテーマに活動。著書に「家をセルフでビルドしたい」(草思社文庫)「冒険食堂」(ヤマケイ新書)「焚き火のすべて」(草思社)など。

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