【2025年に見たい✦新・日本の絶景】空から灯台<大王埼灯台>

快晴のこの日は青い海に白亜の灯台がよく映えた
熊野灘と遠州灘を分ける海域に立つ「のぼれる灯台」
全国に16基、三重県に2基ある「のぼれる灯台」のうち、志摩半島の東南端の大王崎に立つのが大王埼灯台である。熊野灘と遠州灘を分けるこの海域は暗岩が散在する難所で、古くから「伊勢の神埼(こうざき)、国埼(くざき)の鎧(よろい)、波切(なみきり)大王なけりゃよい」と船乗りたちに恐れられたという。
麓にある駐車場に車を止め、灯台が立つ城山(じょうやま)へゆるやかな坂を上がってゆく。坂の途中、立ち並ぶ土産物店から猫が出てきて迎えてくれた。少し上り、脇にそれると、見晴らしの良い公園に出た。灯台と海が見渡せ、観光客の休憩所となっている。灯台を手にのせる構図で写真を撮ったり、ピクニックをしたりと、思い思いに過ごしている。
元いた坂に戻り、上りきると、いよいよ灯台に着いた。
展望台までは地上から82段。2004年までいたという灯台守に思いを馳(は)せながら、遠くまで広がる海を見て一息ついた。
文・写真/青谷 慶



【大王埼灯台】
高さ:23メートル
初点灯:1927(昭和2)年
参観:9時~16時(3月~10月の土・日曜、祝日は~16時30分)/無休/300円
交通:伊勢道伊勢西ICから33キロ
備考:「日本の灯台50選」、国登録有形文化財
問い合わせ:0599-72-1899(燈光会 大王埼支所)
※燈光会HPはこちら
※記載内容は掲載時のデータです。
(出典:「旅行読売」2025年2月号)
(Web掲載:2025年1月25日)