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【5000円で日帰り満足旅】伝統工芸の魅力に触れ 会津の歴史を肌で感じる

場所
> 会津若松市
【5000円で日帰り満足旅】伝統工芸の魅力に触れ 会津の歴史を肌で感じる

小澤蝋燭店の会津絵ろうそく。生産が始まったのは室町時代とされる

 

見ているだけで楽しくなる伝統工芸品や郷土玩具

会津若松は、東北の名城・鶴ヶ城の城下町。会津塗や会津絵ろうそく、赤べこなど、見ているだけで楽しくなる伝統工芸品や郷土玩具が多数あり、絵付けなどの体験メニューも豊富だという。市内を走る「まちなか周遊バス」の1日フリー乗車券を使い、巡ってみることにした。

まちなか周遊バス。今回は「ハイカラさん」(青色)を利用。逆回りの「あかべぇ」(赤色)もある

最初に訪れたのは、7代続く会津絵ろうそくの老舗、小澤蝋燭(ろうそく)店。現在も手作業で伝承の技を守り続けている。店内には白地に草花の絵が描かれたさまざまなサイズの絵ろうそくが並ぶ。絵付けのあとに蝋をかけて艶(つや)を出すとのことで、光沢ある白地に浮かび上がるような花の絵柄は、うっとりするほど美しい。

絵付け体験は1時間ほど。ろうそくに描き始めると、一筆一筆に力がこもり、あまりに真剣な自分に驚く。わずかな時間だが、絵ろうそくの魅力に少しだけ近付いた気がする。

絵付け体験の様子
明治初期の店構えが残る小澤蝋燭店
水に浮かぶ丸ろうそくは防災用にも使える

昼食は会津そばの店、桐屋(きりや) ・権現亭へ。「会津は穀倉地帯でもあるので、そばは米の代替食でなく、ハレの日のふるまい料理、そばを楽しむ文化があるんです」と女将さん。地の味を堪能して鶴ヶ城を目指した。

桐屋・権現亭の「会津頑固そば」
鶴ヶ城城址公園から見た鶴ヶ城

一方、伝統を生かしながら、新たな取り組みを行う施設も誕生しつつある。2022年にオープンしたヒューマンハブ天寧寺(てんねいじ)倉庫はショップに加え、若手職人のコワーキングスペースも設けた複合施設。1階は半分吹き抜けの洗練された空間で、会津の特産品や会津もめん、会津塗などの工芸品を集めたセレクトショップやカフェがある。

ヒューマンハブ天寧寺倉庫

今年4月にオープンしたアカベコランドは、赤べこを「見て・学んで・楽しむ」がコンセプトの観光施設だ。赤べこは幸運を運ぶ縁起物として会津土産の定番だが、生活のさまざまな場面で飾ってほしいと、赤色だけではなく50種ものデザインを考案。物販エリアに並ぶ色とりどりの赤べこは、なんとも愛らしい。

ここでも絵付け体験に挑戦。なかなか絵の具が乾かず、四苦八苦して塗った赤べこは、とても満足のいく出来ではないが、忘れられない旅の思い出がつまった宝物になった。

アカベコランドで販売されている赤べこ。干支(えと)やご当地グルメなど50種のデザインがある
絵付け体験の様子
飯盛山参道入り口にある

絵ろうそくや会津塗などの伝統工芸品は江戸時代には会津藩の特産品として全国に流通し、藩の財政を支える重要な産業だったという。伝統工芸を通して、会津の歴史も肌で感じられた旅だった。

文/高崎真規子 写真/三川ゆき江ほか

旅の予算総額

  

今回使った“お得なきっぷ”

【まちなか周遊バス1日フリー乗車券】

駅前から鶴ヶ城や飯盛山下などの観光名所をぐるりと回るまちなか周遊バス「ハイカラさん」「あかべぇ」に1日乗り降り自由で600円。会津バス若松駅前案内所などで乗車前に購入し、路線図をもらおう。TEL0242-22-5555


小澤蝋燭店
🔳10時~17時30分/体験は10時~16時(要予約。絵ろうそく13センチ1000円~、丸ろうそく650円)/不定休/TEL0242-27-0652

桐屋・権現亭
🔳11時~15時(土・日曜、祝日は~16時)/水曜休/TEL0242-25-3851

ヒューマンハブ天寧寺倉庫
🔳10時~18時/年末年始休/奴郎ヶ前(やろうがまえ)バス停から4分/TEL0242-27-3200

アカベコランド
🔳10時~17時/絵付け体験の受付は10時~15時30分/年末年始休/TEL0242-23-9945

※記載内容は掲載時のデータです。

(出典:旅行読売2024年12月号)
(Web掲載:2025年3月11日)


Writer

高崎真規子 さん

昭和の東京生まれ。80年代後半からフリーライターに。2015年「旅行読売」の編集部に参加。ひとり旅が好きで、旅先では必ずその街の繁華街をそぞろ歩き、風通しのいい店を物色。地の肴で地の酒を飲むのが至福のとき。本誌連載では、大宅賞作家橋本克彦が歌の舞台を訪ねる「あの歌この街」、100万部を超える人気シリーズ『本所おけら長屋』の著者が東京の街を歩く「畠山健二の東京回顧録」を担当。著書に『少女たちはなぜHを急ぐのか』『少女たちの性はなぜ空虚になったか』など。

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