【いま、会える昭和】ゲーム・自販機編 昭和のゲーセン文化を伝える聖地「ゲームコルソ高崎店」

店内にはさまざまなゲーム機が並ぶ。93年に登場し、一世を風靡(ふうび)した名機「アストロシティ」がまだまだ現役だ
まるで昭和の「ゲーセン」にタイムスリップしたかのようだ
ドアを開けると、軽快なゲーム音楽が耳に届いた。店内には、パズルゲーム「テトリス」やシューティングの名作「STRIKERS(ストライカーズ)1945 Ⅱ(ツー)」など往年のゲームやスロット、パチンコなどがずらりと並び、まるで昭和の「ゲーセン」にタイムスリップしたかのようだ。レトロゲームや懐かしい自販機が楽しめると評判の「ゲームコルソ高崎店」を訪ねた。
「ブラウン管を使用したゲーム筐体(きょうたい※)は今や貴重なんです」と語るのは、オーナーの乗附(のつけ)鈴子さん。故障した機器を修理できる職人も少なくなったが、可能な限り以前の状態を維持しているという。
前身となった店が開業したのは、1983(昭和58)年。ゲームが楽しめるドライブインとして多くのドライバーや地元の人に親しまれた。「あの頃はゼビウスが大人気でしたね」と、当時は社員として働いていた乗附さんも懐かしむ。しかし、時代の流れとともに客足が減り、99年に経営企業が撤退。そんな中、常連客からの「なくなるのは寂しい」という声を受け、「一大決心の挑戦」と店を引き継ぐことにした。
※機器を収める箱形の器具
「ベテラン職人さんの整備のおかげで自販機は元気に稼働しています。遊びに来てね!」と、オーナーの乗附鈴子さん
趣のあるコルソの建物は、幹線道路のドライブインとして建てられた
多数のゲーム機と自販機が並ぶ店内。多くのドライバーや地元客が、ここで休息しゲームを楽しんできた
人気のスロットマシーンも多数設置されている
多様なパチンコ台がそろうのもコルソの特徴の一つ。自分好みの一台を見つけてみよう
「地元の常連客が多く、ゲームをせずにうどんや飲み物を楽しみながら談笑する人もいるんですよ」と乗附さんが言うように、レトロ自販機のグルメも魅力の一つだ。
「これを食べるためだけに来る人もいるのよ」と勧められ、お金を投入し、ボタンを押して待つこと数十秒、ゆでたてのラーメンが現れた。分厚いチャーシューが2枚ものった一杯は、満足度も抜群。トーストサンドも熱々で、ゲームをしながらの軽食にぴったりの品だ。
「自販機からラーメンが出てくる!」それだけでもうエンターテインメント。ラーメンのほか月替わりでそばとうどんも。価格はどれも350円
アルミホイルに丁寧に包まれた熱々のトーストサンド280円。熱いので取り出す時は注意しよう
自販機前にはフードコートもあってくつろげる。店内は乗附さん家族によって清潔に保たれている
テレビ番組で「昭和に出合える店」と紹介されてから、新規の客も増えた。「自販機をワイワイ見て回ったり、店内を珍しそうに眺めたり、いろんな楽しみ方をしてもらっています」と若者たちの訪問を喜ぶ。「ずっと愛してくれるファンのために続けてきたら、レトロな店として有名になっちゃった」と笑う乗附さん。そんな彼女の温かい人柄も人気の秘密なのだろう。
文・写真/阪口 克
レトロ旅の土産にカプセルトイはピッタリ。ハンドルをガチャガチャ回す喜びは昭和の頃から変わらない
■7時〜25時/無休/上越新幹線高崎駅からバス20分、棟高東下車すぐ/高崎市棟高町1868-135/TEL:027-372-6207
※記載内容はすべて掲載時のデータです。
(出典:旅行読売2025年4月号)
(Web掲載:2025年5月25日)