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【低山と温泉へ】歴史ロマンただよう山城へ冒険旅行 岩櫃山<標高802m・歩行距離7.7km・歩行時間3時間10分>

場所
> 吾妻郡
【低山と温泉へ】歴史ロマンただよう山城へ冒険旅行 岩櫃山<標高802m・歩行距離7.7km・歩行時間3時間10分>

遠く長野県や栃木県の山並みまで一望できる絶景スポットの山頂

奇岩と絶景、歴史ロマンを楽しむ

戦国の動乱期に築かれた堅牢(けんろう)な山城・岩櫃城。その背後にそびえるのが名峰・岩櫃山だ。武田氏と上杉氏が領有を争い、真田幸村が幼少期を過ごしたとも伝えられ、歴史ファンにも人気の場所。奇岩が連なるダイナミックな地形に、沢沿いの急登、鎖場や鉄梯子(てつばしご)といったスリリングなルートで、ちょっぴり冒険気分が味わえる。

スタートは吾妻線の群馬原町駅。川のせせらぎを聞きながら渓流沿いの道をのんびり40分ほど歩くと、平沢登山口に到着する。自販機とトイレがあり、小休止にぴったり。靴ひもを締め直し、出発!

⑧駅 どこかに入れば iwabitu00004.JPG
群馬原町駅舎

登山口に入ってすぐ道は二手に分かれる。沢沿いの道か、尾根道か……。この日は「沢通り」を選んだ。最初は木漏れ日の中、ゆるやかな山道を歩く。次第に足元がごろごろとした石に変わり、沢の中をなぞるように進んでいく。浅い水流をまたいだり、岩の間を抜けたり。変化に富んだ道が楽しい。

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岩が転がる沢通りルートは、低山ながらダイナミックな地形が続き迫力満点

5合目の辺りから景色が変わる。大きな岩が次々と現れ、鉄梯子や鎖場も現れる。「おおっ」と声が出そうになるが、手を掛け、足を掛けて、一歩ずつ進むのが面白い。

天狗の蹴上(けあ)げ岩を越えると9合目。展望が開けたその先に、岩櫃山の山頂が灯台のように立っている。ここで一休み。駅前の洋菓子店「信濃屋」で買ったドライフルーツのケーキを取り出して糖分をチャージ。あとひと踏ん張りだ。

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香り豊かな「信濃屋」のフルーツパウンドケーキ248円。優しい甘さでリフレッシュ

いよいよ最後の鎖場。三点確保を意識して慎重に、着実に登っていく。気付けば、あっさり登頂成功。頂上に立った瞬間、ぐるりと広がる上州の山々のパノラマに思わず声が漏れる。さえぎるもののない360度の景色。風が心地よくて、いつまでもここにいたくなるような見事な眺めだった。

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頂上直下に現れる鎖場は、一歩ずつ着実に登ろう

帰りは来た道を戻り、途中の分岐から「尾根通り」へ。細くて鋭い稜線(りょうせん)を歩けば、岩櫃山の険しい山容を体感できる。しばらく歩いていくと、視界が開けて広場のような場所に出た。ここが岩櫃城の本丸跡。大きな竪堀(たてぼり)や土塁の跡が当時の威容を今に伝え、天然の要塞のスケール感に圧倒される。

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頂上直下に現れる鎖場は、一歩ずつ着実に登ろう

奇岩に心躍り、沢登りに夢中になり、最後は歴史に触れてしみじみ。色々な楽しさが詰まった、大人の遠足にぴったりな山旅だった。

文・写真/阪口 克

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吾妻川の対岸から見上げる岩櫃山。奇岩が連なる雄々しい姿は吾妻八景の一つ

♨立ち寄り温泉

⑦温泉(あたり) Y341686281.jpg

コニファーいわびつ ◉吾妻峡温泉

岩櫃山の麓にある複合型の宿泊施設。約5万6000坪の敷地にテニスコートやキャンプ場などを備え、アクティブな滞在も楽しめる。日帰り利用可能な入浴施設があり、弱アルカリ性の温泉の露天風呂と薬師岳の天然水を沸かした内湯で、登山の疲れを癒やせる。平沢登山口から徒歩15分。
■14時~20時/無休(土・日曜、祝日、GWなど繁忙期は要問い合わせ)/800円/東吾妻町原町4399/吾妻線群馬原町駅から徒歩50分、またはタクシー10分/TEL:0279-68-5338


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【登山データ】

■交通 [鉄道]東京駅から上越・北陸新幹線50分の高崎駅で吾妻線に乗り換え1時間、群馬原町駅下車[ 車]関越道渋川伊香保ICから上信道経由26キロで平沢登山口( P 無料あり)
■問い合わせ/TEL:0279-68-2111(東吾妻町まちづくり推進課)

アドバイス

食事は群馬原町駅周辺のコンビニや飲食店でも買える。平沢登山口から9合目までは初心者でも問題ないが、頂上への鎖場は難易度がやや高いため、不安を感じたら無理せず引き返そう。その先の密岩コースは上級者向きなので初心者は入らないように注意。

※記載内容は掲載時のデータです。

(出典:旅行読売2025年6月号)
(Web掲載:2025年6月29日)


Writer

阪口 克 さん

奈良県出身。航空会社機内誌や、多くのアウトドア雑誌で取材と撮影を担当する。オーストラリア大陸1万2000キロを自転車で一周し、帰国後フリーランスに。自宅は家族・友人とDIYで建築。旅と自然の中の暮らしをテーマに活動。著書に「家をセルフでビルドしたい」(草思社文庫)「冒険食堂」(ヤマケイ新書)「焚き火のすべて」(草思社)など。

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