金沢の“お隣”白山さんを目指す 双六の旅<石川県白山市>

杉並木が続く白山比咩神社の表参道。脇には清冽な水が流れる
霊峰白山に抱かれる白山市は金沢市に隣接し、文化的な繋がりが多い。市全域がユネスコ世界ジオパークに認定されている自然環境も特筆できる。金沢発着の周遊観光プランをもとに、2号連続で両市の魅力を紹介する。
金沢・白山周遊プランの一つに「白山詣双六」をテーマにしたものがある。白山詣双六は江戸時代末期に作られ、金沢の東山を起点に「白山さん(白山比咩(ひめ)神社)」へ向かう道中の24の景観が描かれている。
振り出しの西養寺(さいようじ)は天台宗の寺院で、ひがし茶屋街を見下ろす高台に立つ。本堂内にある井戸の水は白山に通じているとされ、手を叩くと願いが届くという。苔むした境内は混雑するひがし茶屋街が近いとは思えない静けさだ。
西養寺境内
西養寺本堂内の井戸
金沢市街地を挟むように流れる浅野川と犀川を渡ると、約70の寺社が集まっている寺町寺院群。カフェを併設している寺院もあるので、休憩しながら散策できる。
寺町寺院群の突き当たりに玉泉寺天満宮があり、どちらも双六に描かれている
金沢から車で約30分の鶴来(つるぎ)は酒蔵や和菓子屋が点在し、門前町の風情が残っている。白山比咩神社の神域のほとりにある和田屋(わたや)は、囲炉裏で焼きたての川魚を味わえる。職人が炭火の具合を確認しながら仕上げる塩焼きは、ほのかに甘みも感じて絶品。加賀野菜や山菜などを使った献立は季節ごとに替わり、庭の風情とともに新たな景色を見たくなる。
白山比咩神社の表参道に入ると、静謐な雰囲気に一変する。本殿の裏には禊場(みそぎば)があり、白山信仰を体感できる。詣でた後は、獅子吼(ししく)高原から手取川流域の雄大な景色を眺めよう。麓にある知田工房は獅子頭の工房で、絵付け体験を。加賀獅子は鶴来の祭礼で今も舞われている伝統芸能だ。
知田工房での加賀獅子頭根付け絵付け体験(3520円、要予約)/TEL:076-259-5893(白山市観光連盟)
白山比咩神社
加賀国一の宮で、全国の白山神社3000社の総本宮。奥宮は白山山頂にある。
白山比咩神社境内に作られた手取川を望む展望台
白山の伏流水が流れる禊場
白山比咩神社表参道前にあるおはぎ屋のおはぎソフト(つぶあん、400円)
和田屋
1865年創業の料理旅館。6部屋すべてに囲炉裏があり、川魚料理を楽しめる(6月〜10月はアユ、それ以外の季節はイワナ)。ランチコース1万2000円~(要予約)。
■火曜休/TEL:076-272-0570
獅子吼高原
ゴンドラで上がった標高650メートルの山頂から扇状地を眺められる。パラグライダーが悠然と飛んでいることも。
■4月中旬~11月下旬営業/火曜休/ゴンドラ往復710円/TEL:076-273-8449
獅子吼ゴンドラ乗り場隣接の獅子ワールド館で展示している日本一の大きさを誇る夫婦獅子
タクシーで巡る金沢 白山「白山詣双六2日コース」
1日目
金沢市内➡︎西養寺➡寺町寺院群(散策)➡玉泉寺天満宮➡仁志川(昼食)➡手叩き清水➡金劔宮➡鶴来(ガイド付き散策)➡和田屋(宿泊)
2日目
和田屋➡白山比咩神社(ガイド付き昇殿参拝)➡おはぎ屋(加賀染め手ぬぐい引換、昼食)➡獅子吼高原➡知田工房(獅子頭根付け絵付け体験)➡金沢市内
《タクシーで巡る金沢 白山》
発酵文化(1日)、美景(2日)、歴史街並み(1日、2日)、白山詣双六(1日、2日)の計6コース。すべて金沢市内発着で、体験や宿泊、ガイド料金込みで2人8万6900円~。白山詣双六コース参加者は白山詣双六をモチーフにした加賀染め手ぬぐいがもらえる。
■問い合わせ:白山市観光連盟/TEL:076-259-5893
※記載内容はすべて掲載時のデータです。
(出典:旅行読売202510月号)
(Web掲載:2025年9月8日)