【旅する喫茶店】コーヒー&レストラン 羅比亜(静岡)

内装はほぼ創業当時のまま。店名はコーヒーを世界に広めたアラビア商人の「ア」を抜いて
父娘が二人三脚で切り盛りする清水の老舗
東海道線清水駅西口を出て左へ。「清水駅前グルメ通り」で、ひときわレトロな店構えを見せているのがコーヒー&レストラン 羅比亜(らびあ)だ。
オープンは1976年。創業者の目崎清貴さんは、3年ほど前に娘の山ノ下奈々子さんに店長の座を譲ったが、今も店を手伝い、客の話し相手にもなっている。調理師学校で学んだ奈々子さんは、清貴さんが築いてきた伝統を守りながらも新メニューを考案。その一つが高さ30センチはあろうかというパフェ「フルーツタワー」だ。
パフェには創業時からこだわりがあり、当初はオーソドックスな14種を用意していたという。「フルーツタワー」は、大きさで奇をてらうだけではなく、久能山(くのうざん)のイチゴ、長野や山梨産の果物を使うなど素材にも妥協しない。そんなパフェを人気メニューとしているところに、父へのリスペクトが見え隠れする。ドリンクセットにするなら、渋みの少ない「清水の和紅茶」がおすすめ。ジェラートや果実の甘味をやわらげて後味がすっきりする。
「意見がぶつかる時もあるけど、楽しく仕事をしています」と目崎清貴さん、山ノ下奈々子さん
「フルーツタワー」1200円、プラス350円でドリンクセットに
老舗喫茶店が後継者難で悩む中、父娘がかいがいしく動き回っている様子がうらやましい。店内は笑い声と世間話が絶えず、2人も家族のように話に加わっている。50年間毎日通っている常連客もいるそう。店構えやインテリアだけではなく、人と人とのつながりもレトロで、それが心地良かった。
文/渡辺貴由 写真/齋藤雄輝
しゃれた店名とは対照的な古風な店構え
静岡県静岡市清水区真砂町1-15
TEL:054-364-8181
営業:8時30分~17時/日・月曜休、ほか不定休
交通:東海道線清水駅からすぐ
※記載内容は掲載時のデータです。
(出典:「旅行読売」2025年10月号)
(Web掲載:2025年10月13日)