【一度は見たい紅葉百景】“神の絨毯”と称される山岳紅葉360度の大パノラマが待つ 栗駒山(2)
空気の澄んだ日には栗駒山荘の露天風呂から鳥海山も
露天風呂からも紅葉の絶景が
【一度は見たい紅葉百景】“神の絨毯”と称される山岳紅葉360度の大パノラマが待つ 栗駒山(1)から続く
栗駒山周辺は温泉宿が多く、下山後に温泉で汗を流せる。岩手県側の須川・産沼(うぶぬま)コース入り口には温泉が川のように流れる須川高原温泉がある。「須川温泉 栗駒山荘」は人気が高く、夏と秋の特定期間はハガキ抽選になるほどだ。今年の受付は終了したが、日帰り入浴で自慢の露天風呂から紅葉風景を眺められる。
栗駒山を源とする磐井(いわい)川が形成した厳美渓(げんびけい)の紅葉も素晴らしい。エメラルドグリーンの川に沿って断崖絶壁が2キロほど続き、モミジやイチョウなどの紅葉、黃葉に彩られる。名物の郭公(かっこう)だんごもぜひ味わいたい。
厳美渓から車で15分ほどの距離の平泉には世界文化遺産に登録された「中尊寺」「毛越寺(もうつうじ)」「観自在王院跡」がある。中尊寺の境内や、毛越寺、観自在王院跡の庭園も人気の紅葉スポットになっており、紅葉期にはライトアップやイベントも行われる。
栗駒山周辺は紅葉狩りとともに、登山、渓谷散策、古刹(こさつ)・温泉巡りなども楽しめる。日帰りではもったいないので、1泊か2泊して秋の東北を味わい尽くしたい。
須川温泉 栗駒山荘
🍁9月下旬〜10月上旬

標高約1100メートルの展望露天風呂から紅葉に染まる栗駒山の裾野が望める。温泉は酸性・含硫黄・含鉄(Ⅱ)-ナトリウム-硫酸塩・塩化物温泉。白い濁り湯でほんのりと硫黄の匂いがする。食事は展望レストランで提供され、夕食は山の幸を中心に会席料理が味わえる。
【Data】4月下旬〜10月末営業/1泊2食2万900円〜/日帰り入浴10時〜16時、1000円/東北新幹線一ノ関駅からバス1時間35分、須川温泉下車徒歩5分/秋田県東成瀬村椿川仁郷山国有林/TEL:0182-47-5111
厳美渓
🍁10月下旬〜11月上旬

天工(てんぐ)橋からの眺め。郭公だんごを乗せた籠が川の上を渡る光景も見られる

みたらし、こしあん、ごまあんがセットになった郭公だんご500円
仙台藩主・伊達政宗が「松島と厳美が我が領土の二大景勝地なり」と絶賛したと伝わる景勝地。南岸の東屋からワイヤーにつるされた籠に代金を入れて木片をたたくと、対岸の店舗が籠を回収した後、お茶と団子が戻ってくる〝空飛ぶ団子〟こと郭公だんごが名物だ。
【Data】見学自由/東北新幹線一ノ関駅からバス20分、厳美渓下車すぐ/岩手県一関市厳美町/TEL:0191-23-2350(一関市観光協会)
中尊寺
🍁10月下旬〜11月上旬

写真/ピクスタ

平安期の高僧・慈覚大師円仁(えんにん)が850年に開創。その後、奥州藤原氏の初代当主・清衡(きよひら)が敵味方の区別なく戦死者を弔い、仏教の教えによる平和な理想社会「仏国土」を目指して堂塔を整備した。紅葉期には本堂から金色堂までの参道や堂舎をライトアップする。
【Data】8時30分〜16時50分(11月4日〜2月は〜16時20分)/無休/1000円/東北線平泉駅からバス4分、中尊寺下車徒歩2分/岩手県平泉町平泉衣関202/TEL:0191-46-2211
毛越寺
🍁10月下旬〜11月上旬


中尊寺と同じ慈覚大師円仁が開創。奥州藤原氏2代基衡(もとひら)、3代秀衡(ひでひら)が堂塔などを整備した。藤原氏滅亡後、建物は焼失したが、大泉が池を中心とする浄土庭園と平安期の伽藍(がらん)遺構がほぼ完全に保存されている。
【Data】8時30分〜17時(11月5日〜3月4日は〜16時30分)/無休/700円/東北線平泉駅から徒歩7分/岩手県平泉町平泉大沢58/TEL:0191-46-2331
観自在王院跡
🍁10月下旬〜11月上旬

奥州藤原氏2代基衡の妻が造営した寺院跡。大小2棟の阿弥陀堂が立ち、その前に舞鶴池を中心とする浄土庭園が広がっていた。室町後期から荒廃が続いたが、昭和後期の遺跡発掘調査の成果をもとに伽藍遺構と庭園を修復した。
【Data】見学自由/東北線平泉駅から徒歩7分/岩手県平泉町平泉志羅山地内/TEL:0191-46-2110(平泉観光協会)
文・写真/内田 晃ほか
※記載内容はすべて掲載時のデータです。
(出典:旅行読売2025年10月号)
(Web掲載:2025年10月2日)


Tweet
Share