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【旅して開運】「神話の里」を走るグランド・スーパーカート 高千穂あまてらす鉄道<宮崎>

場所
> 高千穂町
【旅して開運】「神話の里」を走るグランド・スーパーカート 高千穂あまてらす鉄道<宮崎>

60人乗りの客車2両の前後に動力車を連結したグランド・スーパーカートが高千穂駅へ入線

「神話の里」を巡る開運旅へ

宮崎県北西部の山間に位置する高千穂(たかちほ)は日本神話の天孫降臨(てんそんこうりん)の舞台となった地だ。高千穂峡や天岩戸(あまのいわと)神社、天安河原(あまのやすかわら)などパワースポットも数多い「神話の里」を巡る開運旅に出かけた。主な目的は「高千穂あまてらす鉄道」。延岡駅から高千穂駅まで、かつては国鉄高千穂線、次いで高千穂鉄道が走っていたが、2005年の台風被害で廃線になってしまった。その後、復興を望む有志たちによって08年に高千穂あまてらす鉄道を設立。保存路線の一部に「グランド・スーパーカート」を走らせている現在は、年間乗客数11万人を超える大人気のアトラクションに成長した。

出発駅となる高千穂駅から高千穂橋梁(きょうりょう)まで往復5.1キロの鉄道旅に出発だ。「グランド・スーパーカート」と呼ばれるオリジナル車両は、床の中央がガラス張りの客車2両に動力車を前後に連結したプッシュプルスタイルで運行する。運転士の久島(きゅうしま)愛さんは「グランド・スーパーカートは鉄道車両ではなく、動力車はトーイングトラクターを改造したもの。自動車の運転免許があれば運転できるんですよ」と教えてくれた。

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取材当日に乗務した運転士の久島愛さん

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高千穂鉄道時代の面影が残る高千穂駅

動力車のエンジン音にワクワク感が止まらない。満席となった「グランド・スーパーカート」がゆっくりと高千穂駅のホームを離れると、屋根のないオープンな客車ならではの爽やかな風を感じた。木立に囲まれた小道のような区間を抜け、トンネルに入った途端、乗客から驚きの声が上がった。暗いトンネルの壁面がイルミネーションで覆われていたからだ。さらに走るとホームや待合室が残る天岩戸駅へ。この先は全方向の視界が楽しめる高千穂橋梁だ。列車はゆっくりと鉄橋を渡りながら途中で停車した。

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風に吹かれながら木立に囲まれた区間を駆け抜ける

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トンネルに入ると、動力車のミラーボールによってイルミネーションが浮かび上がる

「日本一高い鉄橋で水面からの高さは105メートルあります」と久島さん。360度、見渡す限りの緑が広がり、息をのむ高さからの絶景に心を奪われた。橋梁上ではシャボン玉を飛ばしてくれる演出も。ここからは反対方向に進み、高千穂駅へ戻った。

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高さ105メートルもあるスリル満点の高千穂橋梁。停車時間もあり、見渡す限りの絶景を眺めることができる

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国道218号の雲海橋が見えた

高千穂鉄道時代からの運転士で、高千穂あまてらす鉄道設立に大きく貢献した専務取締役の齊藤拓由(ひろよし)さんは語る。「このグランド・スーパーカートはいわゆる“オープンカー”。屋根も冷暖房もないのでダイレクトに四季を感じていただき、景色、音、匂いをぜひ体感してほしいです」

今後も路線の延伸に向けてチャレンジを続けたいという高千穂あまてらす鉄道に力強さを感じ、運気も上がったように思えた。

文・写真/松尾 諭

モデルコース

宮崎駅
 ↓(日豊線1時間10分)
延岡駅
 ↓(バス1時間~1時間30分)
高千穂駅
 ↓(高千穂あまてらす鉄道グランド・スーパーカーと往復30分)
高千穂駅
 ↓(タクシー10分)
高千穂バスセンター
 ↓(バス15分)
天岩戸神社
 ↓(徒歩15分)
天安河原

👀周辺のパワースポット

8 天安河原.jpg
神話の舞台となった大洞窟がある天安河原。祈願のための無数の石積みが神秘的な雰囲気を醸し出し、天岩戸神社とともにパワースポットとして知られる

9 高千穂峡遊歩道.jpg
高千穂峡は阿蘇山の火山活動によって形成された峡谷で東西7キロにわたって断崖が続く。滝見台からの見学や貸しボートもおすすめ


飾りで入れば 2024.10.3_南九州視察_高千穂あまてらす鉄道[37]_グランド・スーパーカート第10便_松尾 諭.jpg

高千穂あまてらす鉄道
グランド・スーパーカートは9時40分発~15時40分発/第3木曜休/乗車料金は往復2000円/日豊線延岡駅からバス1時間~1時間30分、高千穂駅下車すぐ/TEL:0982-72-3216

※記載内容は掲載時のデータです。

(出典:旅行読売2025年1月号)
(Web掲載:2025年11月7日)


Writer

松尾 諭 さん

フォトグラファー・ライター。1977(昭和52)年奈良県生まれ、三重県育ち。旅行会社勤務を経て、2005(平成17)年に鉄道ジャーナル社の『旅と鉄道』編集部へ。2009(平成21)年からフリーのフォトグラファー・ライターとなる。旅行雑誌や鉄道趣味誌などで取材を行い、写真や記事を発表。全国各地へ鉄道風景や絶景を求めて撮影行脚を続けている。

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