【食べ歩き ご当地おでん】生姜醤油をかけてよし、付けてよし 姫路おでん
かどや店主の有本勲さんは82歳。79歳の妻・暁美さんと二人三脚で昔ながらの味を継承する
関東煮でも関西風でも、生姜醤油を付けて食べれば「姫路おでん」
「姫路おでん」の呼び名が付いたのは、2006年のこと。おでん店などが集まって姫路おでん普及委員会を設立。それ以来、関東煮(かんとうにだき)でも関西風でも、生姜醤油を付けて食べれば「姫路おでん」となった。
国道2号沿いに立つ「かどや」は姫路では最古参で、店主の有本勲さんが3代目。「ここは戦争で焼けていないから、生まれ育った当時のまま」という店舗は昭和にタイムスリップしたようで懐かしい。かつてはトラック運転手が集い、24時間営業だったという。甘めで濃い関東煮のおでんは不動の人気。生姜醤油をかけると味がキリッと引き締まる。
姫路駅前にある「じごろ小廣(こひろ)」は、赤い垂れ幕とちょうちんが目印。5種の地元食材を使った「白鷺(しらさぎ)盛り」が人気だ。「薄味に仕上げた和風だしに生姜醤油でどうぞ」と、かっぽう着姿の女将(おかみ)の池田真帆さん。ふくよかな味わいのタコや穴子に、生姜の辛みが絶妙に絡む。
最後も駅から近い「おでん処 能古(のこ)」へ。L字型のカウンター席の真ん中におでん鍋が鎮座する。見た目も美しい具材に、女将の大橋ひとみさんのこだわりが詰まっている。大根は2日かけて煮込み、白菜ロールなどの変わり種や季節の野菜を使ったネタが並ぶ。
この店では醤油とすりたての生姜を別の皿に入れ、好みに応じて具材に付けて食べる流儀だ。「そのままだしで食べたり、生姜醤油に付けたりして、2度おいしいと感じてもらえるのがうれしい」と大橋さん。名産を味わい、“味変(あじへん)”を楽しんでいるうちに身も心も温かくなっていた。
文/仲底まゆみ 写真/宮川 透
🍢かどや
昭和レトロ感満載の素朴な味

おでんは関東煮。だしをたっぷり吸ってあめ色に輝く

昭和レトロな店構え。道路に囲まれた三角形の敷地に立つ

生姜醤油は皿に盛ったおでんに好みでかける
1939年創業。手書きのメニューには丼もの・中華そばなどがあり、ガラスケースには家庭的な総菜がずらりと並ぶ。おでんのだしは醬油と砂糖に具材の旨(うま)みを重ね続ける。
■10時~20時/土曜休/牛すじ190円、厚揚げ130円など/ 姫路市車崎1-3-35/山陽新幹線姫路駅からバス12分、車崎下車すぐ/TEL:079-292-4572
🍢じごろ小廣
姫路城をかたどった白鷺盛りが人気

白鷺盛りに生姜醤油をたっぷりかけていただく

白いちょうちんと赤い垂れ幕が目を引く

広々としたカウンターからおでん鍋が見やすいように配置されている
姫路を拠点に飲食店を展開するじごろグループが運営。看板メニューは「白鷺城」と呼ばれる姫路城にちなみ、地元が誇る食材5種を使ったおでんの盛り合わせ。播州(ばんしゅう)の地酒と郷土料理が味わえる
■17時30分~23時(土・日曜、祝日は11時30分~)/不定休/白鷺盛り1650円など/姫路市駅前町222 姫路駅前第一ビル1階/山陽新幹線姫路駅から徒歩2分/TEL:079-285-3305
🍢おでん処 能古
2度おいしいおでん

鍋には大根、厚揚げ、地ダコ、滋賀県の名物赤こんにゃくなどがぎっしり

日本酒と食べることが大好きな女将、大橋ひとみさん

店内には地域団体商標の「姫路おでん」の木札を掲げている。現在49店が加盟
おでんの具材は常時20種以上。朝早くからカツオと昆布だしで手間をかけて仕込む。播磨灘(はりまなだ)の地ダコ、姫路れんこん、老舗豆腐店の厚揚げなどを使い、素材の味を生かすことにこだわる。
■17時~22時(おでんがなくなり次第終了)/日曜、祝日休/大根220円〜など/姫路市白銀町107白銀ビル1階/山陽新幹線姫路駅から徒歩5分/TEL:079-284-7345
※記載内容はすべて掲載時のデータです。
(出典:「旅行読売」2025年11月号)
(Web掲載:2025年10月30日)


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