©2025「てっぺんの向こうにあなたがいる」製作委員会

山と生きた田部井淳子さんの思いにふれる

今年は女性初のエベレスト登頂から50年の節目の年。その偉業を成し遂げた登山家・田部井淳子さんの山とともに生きた人生を基に描いた作品が、10月31日より全国公開される。

エベレスト登頂という輝かしい業績の影には、友人や家族との別離があった。余命宣告を受けた晩年は、夫とともに山と向き合い、東日本大震災で被災した東北の高校生たちと富士山に登るプロジェクトに力を注いだ。人生最後の登山も高校生たちとの富士登山だった。その時、〝てっぺん〞の向こうに何が見えたのか。

主人公の多部純子を吉永小百合、夫の正明を佐藤浩市、純子の親友で新聞記者の北山悦子を天海祐希、青年期の純子をのんが演じる。吉永は役づくりのため、田部井さんが初めて登った茶臼岳（栃木）や、リハビリのため夫と歩いた日和田山（埼玉）を訪れ、撮影に備えた。撮影は富士山、日和田山、御霊櫃（ごれいびつ）峠、立山室堂（たてやまむろどう）で行われ、各地の美しい風景も見どころの一つ。

文／中 文子

（出典：「旅行読売」2025年12月号）
（Web掲載：2025年10月28日）