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【旅して開運】世田谷<東京> 招き猫に誘われ、世田谷線で豪徳寺へ

場所
> 世田谷区
【旅して開運】世田谷<東京> 招き猫に誘われ、世田谷線で豪徳寺へ

報恩感謝の気持ちがあれば福が訪れるという教えから、豪徳寺の招福猫児は、右手を上げるだけで小判は持っていない

「幸福の招き猫電車」で一躍人気の招き猫スポットに

福を呼ぶという招き猫の起源は諸説あり、愛知県瀬戸市の招き猫ミュージアム、岡山市の招き猫美術館など、招き猫スポットも全国に点在する。中でも人気沸騰中なのが世田谷区の豪徳寺。連日、国内外の参拝者が詰めかけていると聞き、出かけてみた。

世田谷線宮の坂駅から歩いて5分ほど。城山通りの左手に豪徳寺の石門がある。参道の両端には見事な松の巨木がそびえ、足を踏み入れた途端、都会の喧騒(けんそう)が遠のくようだ。

招き猫の由来は、江戸時代初期に遡る。ある日、この地を通りかかった2代目彦根藩主・井伊直孝(いいなおたか)が、寺の門前にいた猫に手招きされて立ち寄ると、辺りは突然の雷雨に。難を逃れたことに感謝した直孝の支援で寺が再興され、井伊家の江戸における菩提(ぼだい)寺となった。

その後、福を招いた猫を「招福猫児(まねきねこ)」と呼び、1941年に招福殿を建立。現在は奉納された大小さまざまな「招福猫児」が、お堂を取り囲むように所狭しと並んでいる。あまりの可愛さに、みんな顔をほころばせて記念写真を撮っていた。

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招福殿のお堂の外にある招福猫児の奉納所。招福猫児は寺務所で販売

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世田谷区指定文化財に指定された仏殿

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招福殿の入り口にも招福猫児の像がある

豪徳寺が一躍人気の招き猫スポットになったきっかけの一つが、2017 年に初登場した、世田谷線の「幸福の招き猫電車」だ。世田谷線は三軒茶屋駅から下高井戸駅までの5キロ、わずか10駅を約18分で結ぶ路面電車。車両の前面が猫の顔という愛らしいラッピング列車が街なかを走る姿は話題になった。地元商店街でも招き猫のデザインをあしらったスイーツや雑貨を提供し始め、宮の坂駅周辺は、どこかで招き猫に出合える名所となったわけだ。

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豪徳寺の協力を得てデザインした、世田谷線の「幸福の招き猫電車」

和菓子店「まほろ堂蒼月」では、どら焼きに招き猫の焼き印を押した「まねきねこどら」を考案。地域の土産として買っていく人も多い。

20年にオープンしたアートカフェ「ララサンド」本店では、オリジナルデザインで招き猫をあしらった「主張しすぎるもなか」などを販売。イートインもある。熱々の人形焼「招福焼」は外国人観光客に人気で、平日でも行列ができている。

幸福の招き猫電車は1日5~20本程度の運行。偶然見かけただけで、なんだかご利益があるような気分になる。運行がない日もあるので、東急電鉄のホームページで運行予定を確認するといいだろう。

文/高崎真規子 写真/三川ゆき江ほか

まほろ堂蒼月

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「まねきねこどら」216 円。バターで焼いた皮と甘さ控えめのあんこがよく合う

■10時~18時/月曜(祝日の場合は翌日)休、不定休あり/世田谷線宮の坂駅から徒歩3分/世田谷区宮坂1-38-19-103/TEL:03-6320-4898

ララサンド

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抹茶と招き猫のもなかセット1000円。もなかの皮には新大正もちというブランドもち米を使用

■10時~18時/12月31日休/小田急線豪徳寺駅から徒歩3分/世田谷区豪徳寺1-8-5/TEL:03-6881-0903


【モデルコース(日帰り)】

三軒茶屋駅
 ↓(世田谷線11分)
宮の坂駅
 ↓(徒歩5分)
豪徳寺
 ↓(徒歩10分)
ララサンド
 ↓(徒歩6分)
まほろ堂蒼月
 ↓(徒歩3分)
宮の坂駅

豪徳寺
家内安全 商売繁盛
■6時~17時(寺務所は8時~15時)/無休/世田谷線宮の坂駅から徒歩5分、または小田急線豪徳寺駅から徒歩15分/世田谷区豪徳寺2-24-7/TEL:03-3426-1437

※記載内容は掲載時のデータです。

(出典:旅行読売2025年1月号)
(Web掲載:2025年11月8日)


Writer

高崎真規子 さん

昭和の東京生まれ。80年代後半からフリーライターに。2015年「旅行読売」の編集部に参加。ひとり旅が好きで、旅先では必ずその街の繁華街をそぞろ歩き、風通しのいい店を物色。地の肴で地の酒を飲むのが至福のとき。本誌連載では、大宅賞作家橋本克彦が歌の舞台を訪ねる「あの歌この街」、100万部を超える人気シリーズ『本所おけら長屋』の著者が東京の街を歩く「畠山健二の東京回顧録」を担当。著書に『少女たちはなぜHを急ぐのか』『少女たちの性はなぜ空虚になったか』など。

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