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【はじめてのひとり旅(一人旅)の宿】養生館はるのひかり <湯本温泉・神奈川> おこもり宿で 温泉にひたる(2)

場所
> 箱根町
【はじめてのひとり旅(一人旅)の宿】養生館はるのひかり <湯本温泉・神奈川> おこもり宿で 温泉にひたる(2)

生野菜、わん物、揚物、煮物などの並ぶ夕食。献立は3日ごとに少しずつ変わる

閑静な宿で、何もしないぜいたく...野菜の滋味をしみじみ実感

【はじめてのひとり旅(一人旅)の宿】養生館はるのひかり <湯本温泉・神奈川> おこもり宿で 温泉にひたる(1)から続く

夕食は1階の食事処でいただく。カツオやイリコのだしは使うが、食材は野菜だけ。どんな献立が出てくるのか興味津々で席に着いた。デザートも入れて8品。シャキシャキのサラダは水菜やブロッコリーなど、それぞれの味わいがある。スープも揚げ物も然(しか)り。これまで味わったことのない、野菜の香りやうまみに舌を巻いた。500キロカロリー未満だというが、満腹になった。

米山さんは大学の畜産農学部を卒業。マクロビオティックも学び、計算し尽くして献立を考案。割烹(かっぽう)料亭出身の板長の技術で味を引き立て、絶品の養生食が誕生したのだ。

食材も厳選している。地元で収穫した旬の露地栽培の野菜を使用し、自家菜園でも約30種を栽培している。冬場は野菜を土の中に埋めて鮮度を保つ。調味料には麹を発酵させたひしおや手作りの梅干しなどをアレンジ。玄米の栄養吸収や消化を促進させるため、水につけてわずかに発芽させてから炊く。そうすることでもちもち感が出て味もよくなるという。

K.野菜保存.jpg
冬場は土の中で野菜を仮死状態にして保存する

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朝食は、もち麦、白米、古代米の雑穀ご飯に焼き魚も提供。食前に飲む自家製の酵素ドリンクが食欲をそそる

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希望者に朝食で提供する納豆も自家製。独特のうまみがある

聞けば聞くほど、同館ならではの食の希少性が際立ってくる。キクイモや海藻など、水溶性と不溶性の食物繊維をバランスよく使った、ひとり旅限定の「腸の養生プラン」(2泊~6泊、1泊2万720円~)も人気で、エステティックサロンに通うような感覚で毎月訪れるリピーターもいるそうだ。

14室ある客室の半分以上はひとり泊限定。客室は3タイプだが、どれも十分すぎるほど広々としている。ロッキングチェアに座り、窓の外を眺めていると、次第に頭の中が空っぽになっていく。しんとして落ち着いた空間で、何もしないぜいたくな時間を過ごした。ソファの置かれた読書室もあり、好きな本を持参してじっくり読むのもいいだろう。

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最上階にあるひとり泊限定のセミダブル洋室(1泊2食1万9400円)。ベランダに出てくつろぐこともできる

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1~2人定員の10畳和室

H.和洋室.jpg
広々とした個室書斎付きの和洋室ツイン(1泊2食2万2150円)も、ひとり泊利用のみ

よく眠れたせいか、心身ともに充電されたのか、翌朝は心なしか体が軽い気がした。連泊したらもっと変化を実感できるだろう。しっかり手応えを感じた1泊だった。

文/高崎真規子 写真/三川ゆき江ほか


Q.玄関.jpg
独特の趣を感じさせる玄関。茅葺きは毎年少しずつ修復する

養生館はるのひかり
TEL:0460-85-5641
住所:箱根町湯本554
【ひとり泊データ】
条件:通年可
客室:トイレ付き10畳和室、トイレ付きセミダブル洋室など(全14室)
食事:夕・朝食=食事処
<料金(税込)>
素泊まり 平日―/休前日―
1泊朝食 平日―/休前日―
1泊2食 平日1万8740円~/休前日1万8740円~
※2名1室利用は1泊2食1万7200円~
交通:箱根登山電車箱根湯本駅からバス5分、曽我堂上下車すぐ/小田原厚木道路山崎ICから1.3キロ

※記載内容は掲載時のデータです。

(出典:旅行読売2025年3月号)
(Web掲載:2025年11月22日)


Writer

高崎真規子 さん

昭和の東京生まれ。80年代後半からフリーライターに。2015年「旅行読売」の編集部に参加。ひとり旅が好きで、旅先では必ずその街の繁華街をそぞろ歩き、風通しのいい店を物色。地の肴で地の酒を飲むのが至福のとき。本誌連載では、大宅賞作家橋本克彦が歌の舞台を訪ねる「あの歌この街」、100万部を超える人気シリーズ『本所おけら長屋』の著者が東京の街を歩く「畠山健二の東京回顧録」を担当。著書に『少女たちはなぜHを急ぐのか』『少女たちの性はなぜ空虚になったか』など。

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