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【はじめてのひとり旅の宿】養生館はるのひかり <湯本温泉・神奈川> おこもり宿で 温泉にひたる(1)

場所
> 箱根町
【はじめてのひとり旅の宿】養生館はるのひかり <湯本温泉・神奈川> おこもり宿で 温泉にひたる(1)

広々とした2階の大浴場。浴槽を仕切り、湯口の熱めの湯が順にぬるくなるよう湯量を調整

養生食とかけ流しの湯で疲れたからだをいたわる

〝養生に特化した、珍しい温泉宿がある〟と聞いたのは、年の瀬も押し迫り、1年の疲れが体に重くのしかかっていた頃だ。「養生」という言葉にひかれ、予約を入れた。

箱根登山電車の箱根湯本駅からバスで5分ほど。旧東海道沿いの左手奥に立つ茅葺(かやぶき)屋根の宿が「養生館はるのひかり」だ。この建物はフロントとロビーで、さらに奥の斜面に客室と風呂のある宿泊棟が立つ。

開業は2015年。以前は温泉旅館だった建物を全面改装し、無農薬栽培の野菜や玄米を中心とした養生食とかけ流しの湯でもてなす〝逗留(とうりゅう)湯治の宿〟としてスタートした。養生が目的なので連泊を推奨する。ゆっくり静養できるよう受け入れ人数は1組1人か2人が原則で、館内では静粛に過ごすようお願いしている。

B.入り口.jpg
箱根旧街道沿いに立つ

C.ロビー.jpg
元は茶室だったというロビー。ここでチェックインする

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ロビーから庭に出て、宿泊棟に向かう。斜面に立つ宿泊棟は階段で移動

「野菜中心の食事で内臓をいたわり、温泉で血の巡りをよくする。静かな館内で1日のんびりしてぐっすり眠り、心身ともに元気になってほしいということなんです」と支配人兼湯守の米山雄二郎さん。

まずは、かけ流しの温泉につかることにした。大浴場は1階と2階にあり、深夜0時に男女入れ替えとなる。2階の大浴場は浴槽を三つに仕切っており、熱湯(あつゆ )、適温、ぬる湯と好みの温度の湯につかれる。最初はぬる湯でゆったりし、隣の適温に移動する。無色透明の湯本温泉が体になじんで、ぽかぽかと心地いい。

E.1階大浴場.jpg
ぬる湯と適温の湯が楽しめる1階の大浴場。1階、2階ともに夏は窓を開け、半露天風呂になる

👀周辺の見どころ

ルッカの森🍩

M.ルッカ菓子.jpg

N.ルッカ外観.jpg

名物はバウムクーヘン。ふんわりした舌ざわりの「湘南ゴールド」1280円は、神奈川県で開発されたかんきつ類“湘南ゴールド”がほんのりと香る。大きな渋皮栗をアーモンドプードルとバターを使った生地でくるみ、パリパリの皮で包んだ焼モンブラン380円も人気だ。明治時代創業の和菓子店「和菓子菜の花」の系列店で、同店の定番和菓子も一部販売している。
■9時30分~17時30分/不定休/箱根登山電車箱根湯本駅から徒歩8分/TEL:0460-85-6222

本間寄木美術館

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O.美術館外観.jpg

寄せ木細工の伝統工芸士・本間昇さんが長い年月をかけて収集した作品を常時200点あまり展示。江戸時代に作られた家具調度品など、歴史ある貴重な作品を鑑賞できる。1階の売店では茶筒、文箱、ペンケース、ぐいのみなど、寄せ木細工商品を多数販売。隣には寄せ木工房があり、作業場の様子や制作風景をガラス越しに見学できる。
■10時~15時30分(売店は〜16時)/年末年始休/500円/箱根登山電車入生田駅から徒歩10分、または箱根湯本駅からバス4分、山崎下車徒歩2分/TEL:0460-85-5646

文/高崎真規子 写真/三川ゆき江ほか

【はじめてのひとり旅の宿】養生館はるのひかり <湯本温泉・神奈川> おこもり宿で 温泉にひたる(2)へ続く(11/22公開)


Q.玄関.jpg
独特の趣を感じさせる玄関。茅葺きは毎年少しずつ修復する

養生館はるのひかり
TEL:0460-85-5641
住所:箱根町湯本554
【ひとり泊データ】
条件:通年可
客室:トイレ付き10畳和室、トイレ付きセミダブル洋室など(全14室)
食事:夕・朝食=食事処
<料金(税込)>
素泊まり 平日―/休前日―
1泊朝食 平日―/休前日―
1泊2食 平日1万8740円~/休前日1万8740円~
※2名1室利用は1泊2食1万7200円~
交通:箱根登山電車箱根湯本駅からバス5分、曽我堂上下車すぐ/小田原厚木道路山崎ICから1.3キロ

※記載内容は掲載時のデータです。

(出典:旅行読売2025年3月号)
(Web掲載:2025年11月21日)


Writer

高崎真規子 さん

昭和の東京生まれ。80年代後半からフリーライターに。2015年「旅行読売」の編集部に参加。ひとり旅が好きで、旅先では必ずその街の繁華街をそぞろ歩き、風通しのいい店を物色。地の肴で地の酒を飲むのが至福のとき。本誌連載では、大宅賞作家橋本克彦が歌の舞台を訪ねる「あの歌この街」、100万部を超える人気シリーズ『本所おけら長屋』の著者が東京の街を歩く「畠山健二の東京回顧録」を担当。著書に『少女たちはなぜHを急ぐのか』『少女たちの性はなぜ空虚になったか』など。

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