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【はじめてのひとり旅の宿】湯元不忘閣 <宮城・青根温泉> おこもり宿で 温泉にひたる

場所
> 川崎町
【はじめてのひとり旅の宿】湯元不忘閣 <宮城・青根温泉> おこもり宿で 温泉にひたる

大湯では1546年の施工当時のままの切り石の浴槽につかれる

伊達政宗公がつかった湯と風情をそのままに

蔵王連峰の一つ、花房山中腹の標高500メートルにある青根温泉は、仙台藩主の御殿湯(ごてんゆ)だった温泉地。湯元不忘閣はその歴史を継ぐ宿である。

風呂は全14室に対して六つもあり、伊達政宗公らがつかった江戸時代の石組みの湯船の風呂も変わらずに残っている。明治時代の土蔵を1棟丸ごと貸し切り風呂にした蔵湯や、空いていれば無料で何度も貸し切りにできる風呂もあり、気ままに湯巡りを楽しみたい。

② 不忘閣蔵湯3.jpg
蔵湯は湯の音だけが響く神聖な空間。ひとりでも30分無料で貸し切りにできる

ひとり泊で利用できるのは高台の不忘庵の客室。山の斜面に沿って造られた約70段~90段の階段を上らなくてはならないため、足腰が心配な人には不向きだが、そのぶん眺めは良い。仙台の町の夜景や遠くにうっすらと太平洋まで見渡せる。

③ 左下サブ 不忘閣客室.jpg
ひとりで泊まれる不忘庵の客室。高台にあり、車などの人工の音が耳に入らない

国の登録有形文化財の建物が7棟もあり、レトロで絵になる館内は湯巡りがてら散策したくなる。ラウンジは日本酒やコーヒーが自由に飲めるようになっていて、休憩にちょうどよく、ほかの宿泊者との会話も生まれやすい。ここから藩主の滞在場所だった中庭の青根御殿が見上げられ、3月頃までは雪景色の中に威風堂々と立つ姿が美しい。

⑤ 右下(上)不忘閣夜の青根御殿.jpg
明かりが漏れる夜の青根御殿

④ 右下(下)不忘閣料理2.jpg
地の素材をふんだんに取り入れた会席料理

文/野水綾乃


湯元不忘閣
TEL:0224-87-2011
住所:川崎町青根温泉1-1
【ひとり泊データ】
条件:繁忙期を除く通年可
客室:トイレ付き10畳和室など(全14室)
食事:夕・朝食=食事処の個室
料金:素泊まり・1泊朝食なし、1泊2食1万9950円~
交通:東北新幹線白石蔵王駅からバス48分、アクティブリゾーツ宮城蔵王下車、バス停から送迎あり(要予約)/山形道宮城川崎ICから10キロ

※記載内容は掲載時のデータです。

(出典:旅行読売2025年3月号)
(Web掲載:2025年12月1日)


Writer

野水綾乃 さん

1973年、栃木県生まれ。温泉と旅のライター。現在も栃木を拠点に、県内はもちろん、全国の温泉地や食、民芸などの取材を行う。温泉ソムリエアンバサダー、温泉入浴指導員、日本旅のペンクラブ理事。

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