【私の初めてのひとり旅(一人旅)】市川知宏さん 広島、鹿児島(2)
知覧特攻平和会館に展示されていた戦闘機のレプリカの前で
特攻隊員の直筆手紙にとめどなく涙が流れた
【私の初めてのひとり旅(一人旅)】市川知宏さん 広島、鹿児島(1)から続く
強烈な印象と思い出が詰まったひとり旅というと、17年5月の鹿児島です。その年の8月から上演する舞台で特攻隊員役を演じることが決まっていたので、ぜひ鹿児島へ行かなければと考えました。
特攻隊についてはインターネットでも情報検索が可能でしたが、少しでもリアルに感じたかったのです。台本には書かれていませんでしたが、劇中に登場する食堂のおばさんのモデルは「特攻の母」といわれる鳥濱(とりはま)トメさんではないかと思い、知覧を目指しました。ちょうど福岡に住んでいる兄夫婦に子どもが産まれた頃だったので、おいっ子の顔を見に行く前に鹿児島で1泊して訪れることにしました。
知覧特攻平和会館には特攻隊員の方々の直筆の手紙や鉢巻きなどの遺品が展示されていました。それらを見た後に特攻隊員が母に宛てた手紙を読んだら、周りに多くの人がいたにもかかわらず、号泣してしまいました。
自分と同世代、あるいは年下の若者たちが、国を守るために死んでいった。愛する人を守るためにそうするしかなかった。自分が演じるのはそんな時代を生きた若者。説明できない感情がこみ上げてきて、涙があふれ出たのだと思います。
夜は鹿児島中央駅近くの店で黒豚しゃぶしゃぶを食べましたが、そこの店員さんと仲良くなり、翌日は彼の案内で指宿(いぶすき)の唐船峡(とうせんきょう)でそうめん流しと、砂むし会館で砂風呂を体験しました。人生初の砂風呂はすごく気持ちがよかった!様々な経験と人との縁に恵まれたひとり旅でした。

指宿では砂風呂も体験した
19歳でひとり旅の良さを知ったので、仕事で地方へ行くとオフの時間にはよくひとりで街を見て回っています。2025年は山形の庄内で撮影があり、オフに鶴岡の街を自転車で回ったり、約2時間かけて羽黒山に登ったりしました。せっかく知らない土地へ行くのなら、これからも何かを学んだり、経験を積んだりしていきたいと思います。
話/市川知宏 聞き手/田辺英彦
(出典:「旅行読売」2025年12月号)
(Web掲載:2026年1月18日)


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