【私の初めてのひとり旅】原 沙知絵さん 鹿児島、トルコ(1)

©Beatull brand site / photo: 中島古英
はら・さちえ[女優]
1978年、福岡県生まれ。97年に女優デビュー。テレビドラマ「警視庁捜査一課9 係」「特捜9」シリーズに2009年から監察医役で出演。旅番組「世界ウルルン滞在記」ではドイツにホームステイし、NHKE テレ「テレビでドイツ語」のナビゲーターを務める。テレビ、映画、雑誌などで活躍中。結婚後、オーストリアに約2年間居住。著書に『心も体も心地よい私のセルフケア習慣』(宝島社)。
10歳から福岡〜鹿児島をひとりで移動、自信がついて旅が好きになりました
若い頃から仕事でさまざまな国を訪れ、プライベートでも旅行が趣味でたくさんの国へ行っています。旅をするときは、たいてい誰かと会う目的があり、そこまでの行き帰りがひとりなので、私にとってはそれが「ひとり旅」という認識なのです。ですから、初めてのひとり旅というと、小学校高学年だった10歳頃の鹿児島行きになります。
当時は福岡に住んでいましたが、母方の実家が鹿児島の知覧(ちらん)町(現南九州市)にありました。ひとりで、時には妹と一緒に、鹿児島へ行っていました。両親が「かわいい子には旅をさせろ」という考え方で、結構早めに手放してくれたのです。子どもにとっては日常からかけ離れた未知の体験でした。
九州新幹線は開業前だったので、鹿児島線の特急に乗ったり、鹿児島空港まで飛行機で飛んだりしました。航空便は今と違って便数も多かったです。バスや電車など公共の乗り物を使うのも好きでした。細かいルートは覚えていないのですが、毎回、無事に到着していました。
鹿児島・番所鼻(ばんどころばな)自然公園から開聞岳を望む
西鹿児島駅(現鹿児島中央駅)や鹿児島空港に親戚が迎えに来てくれました。空路だと1時間かからないくらい、特急は4時間以上かかったと思いますが、子どもだけでも全然寂しくなくて。いまだにどんなに遠い国に行ってもホームシックにならないのは、その頃の経験で自信がついたからかな? 親元から離れて旅をするのが、好きな子どもだったんですよね。おかげでいろんな所を旅する根性がついて、そういう大人になりました(笑)。
母の実家はお茶やタバコの農家だったので、敷地に倉庫などがあってかくれんぼして遊んだり、夏は海水浴へ行ったり、冬は餅つきをしたり。陸軍特別攻撃隊員の遺品や関係資料を展示している知覧特攻平和会館や、薩摩半島の南端にある開聞岳(かいもんだけ)へも行きました。開聞岳に近い唐船峡(とうせんきょう)そうめん流しも好きでした。清涼な湧水を利用して、回転式の流し器からそうめんをすくって食べるのが楽しかったですね。
話・写真/原 沙知絵 聞き手/田辺英彦
【私の初めてのひとり旅】原 沙知絵さん 鹿児島、イスタンブール(2)へ続く(8/7公開)
(出典:「旅行読売」2025年8月号)
(Web掲載:2025年8月6日)