【私の初めてのひとり旅】原 沙知絵さん 鹿児島、トルコ(2)

イスタンブールの荘厳なスルタンアフメト・モスク。通称ブルーモスク
©Beatull brand site / photo: 中島古英
はら・さちえ[女優]
1978年、福岡県生まれ。97年に女優デビュー。テレビドラマ「警視庁捜査一課9 係」「特捜9」シリーズに2009年から監察医役で出演。旅番組「世界ウルルン滞在記」ではドイツにホームステイし、NHKE テレ「テレビでドイツ語」のナビゲーターを務める。テレビ、映画、雑誌などで活躍中。結婚後、オーストリアに約2年間居住。著書に『心も体も心地よい私のセルフケア習慣』(宝島社)。
トルコのイスラム圏で異文化に触れ、刺激を受ける
【私の初めてのひとり旅】原 沙知絵さん 鹿児島、トルコ(1)から続く
大人になるにつれ、異文化を知りたいという好奇心がどんどん強くなっていきました。文化や宗教の違いなどを見ることで、刺激をもらうというか。旅先での体験を日本に帰ってきてから振り返ることも好きになりました。
初めてトルコへ行ったのは紀行番組のロケでしたが、イスタンブールやリゾート地のアンタルヤ、世界遺産のカッパドキアなどを巡りました。そのときに共演したトルコ在住の方と仲良くなり、今でも交流が続いています。ひとりでトルコに行くためにマイレージをためて、それを使って旅をするのが楽しみになり、独身のときは結構通っていました。
イスタンブールのスルタンアフメト・モスク(ブルーモスク)は、造形美も見事ですが、イスラム教の習わしに従って髪を覆い隠して荘厳な堂内に入り、アザーン(礼拝の呼びかけ)の声音を聞いていると、宗教や文化に触れているという実感がありました。
どこの国でもそうですが、写真や映像では得られない、音や匂い、温度、食べ物の味などを体感したいし、それは旅に出ないと絶対体験できないと思います。
オーストリアのザルツブルクでは、夫の仕事の関係で約2年間暮らしました。自分自身は記憶にないのですが、「いつか海外に住みたいと言ってたもんね」と父親に言われて。本当に不思議ですね。ドイツ語を勉強していて、ドイツに住みたいと思っていましたが、その近くの国でした。ヨーロッパの人は仕事と遊びの切り替えがはっきりしていて、ライフワークバランスの取り方がとても上手だなと感じました。ビジネスマンでも金曜は早めに仕事が終わって土・日曜は完全にオフなので、家族や友達と過ごします。
映画「サウンド・オブ・ミュージック」のロケ地としても有名なザルツブルクのミラベル庭園
夏のバカンスには私たちも車でイタリアへ行ったり、安いチケットを取って近隣の国々へ遊びに行ったりしました。民泊で1か所に長期滞在して、住んでいるように旅行を楽しむことも学びました。
誰かと一緒に行く旅にはその良さがありますが、相手が楽しんでいるかどうか心配になることもあります。気を使ってしまう性格なので、何でも自分のペースでできるひとり旅が向いているのかなと思います。
話・写真/原 沙知絵 聞き手/田辺英彦
(出典:「旅行読売」2025年8月号)
(Web掲載:2025年8月7日)