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【私の初めてのひとり旅】財前直見さん 東京(1)

場所
> 渋谷区
【私の初めてのひとり旅】財前直見さん 東京(1)

ざいぜん・なおみ[女優]
1966年、大分県生まれ。85年、女優デビュー。シリアスな作品からコメディーまで数々の映画やテレビドラマに出演。主な作品にドラマ「お水の花道」、大河ドラマ「おんな城主 直虎」「光る君へ」、映画「天と地と」など。2007年に故郷の大分に移住し、現在は両親と3人暮らし。8月29日にフォトブック『直見工房2 それからのこと』(宝島社)を発刊。財前家のオリジナルレシピや田舎暮らしの今を紹介。

18歳でオーディションのため単身上京、80年代の原宿文化に胸躍らせる

大分県に住んでいた私が初めてひとりで東京へやって来たのは、高校卒業間近の1984年2月でした。知らないうちに航空会社のキャンペーンガールのオーディションに応募されていて、「最終選考の4人に残ったから、東京に来て面接を受けてほしい」と連絡があったんです。卒業後は地元の歯科医院に就職が決まっていたし、選ばれるとは思っていなかったのですが、東京に行けるということで、ちょっと楽しみでもありました。

大分から飛行機に乗って羽田空港へ行きました。空港には出迎えの車が来ていて、なんと運転していたのは有名なプロボウラーの中山律子さんでした。連絡があった後、私をスカウトに来られた方の奥さんが中山さんだったんです。それでご主人の代わりに迎えに来てくださって、都内にあった夫妻の自宅に泊まらせていただきました。

翌日、オーディションで着用する水着を買おうと、原宿に連れて行ってもらいました。中山さんの娘さんも一緒だったので、確か日曜日だったと思います。高校の修学旅行でも原宿には来ていましたが、やはり詳しい人と行くと全く印象が違いました。

当時はまだ原宿にホコ天(歩行者天国)があり、代々木公園前の広い通りにラジカセで音楽を流しながら集団で踊る人たちがいました。テレビでは見ていたのですが、本当にいるんだなという感じでした。「竹の子族」というのはその頃は下火だったと思いますが、ロックンロールに合わせてリーゼント&ポニーテールのスタイルで踊る若者たちが大勢いました。ちょうどその年に柳葉敏郎さんたちがいたグループ「一世風靡(いっせいふうび)セピア」がデビューしたので、ひょっとしたら柳葉さんも踊っていたかもしれませんね。

竹下通りにも行きました。梅宮辰夫さんがやっている漬物屋さんの店先に大きな人形があって、タレントショップのはしりだったのかしら。そんなことが印象に残っています。その時は滞在中、ずっと緊張していたので、どこかで何かごちそうになったと思うんですけど、それも覚えていません。ひとり旅らしいワクワクする出会いなどは、なかったですね。

話・写真/財前直見 聞き手/田辺英彦

【私の初めてのひとり旅】財前直見さん 東京(2)へ続く

3.財前さん大分暮らし.jpg
大分の実家で一緒に暮らし、畑仕事をする父紘二さん(中央)、母カツ子さん


(出典:「旅行読売」2025年10月号)
(Web掲載:2025年10月29日)


Writer

田辺英彦 さん

東京都大田区出身、埼玉県在住。旅行ガイドブック編集・執筆、出版業界誌執筆などを経てフリーランスに。東北・八幡平の温泉群と、低山ハイク、壊れかけたもの・廃れたものが好き。

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