たびよみ

旅の魅力を発信する
メディアサイト
menu

【旅先で味わいたい!なつかし ご当地パン】福田パン

場所
> 盛岡市
【旅先で味わいたい!なつかし ご当地パン】福田パン

甘みと塩気のハーモニー「あん+バター」

岩手・盛岡に根差し、1日約1万個を売り上げる

盛岡といえば、わんこそば、冷麺、じゃじゃ麺の三大麺が有名だが、福田パンのコッペパンも市民の誰もが認めるソウルフードの一つだ。

創業者、福田留吉さんは岩手県花巻市の生まれ。農学校で宮沢賢治に学び、酵母研究の知識を生かして1948年に盛岡で創業した。開業して間もなく母校の岩手大学でパンを売り始め、戦後の物資不足の中、「学生に安くてお腹いっぱいになるものを」と開発したのがコッペパンだ。

パン1個でご飯2膳と牛乳1本分のカロリーが取れるとたちまち人気に。具材を変えて多くのメニューを生み出すのは、パンの種類が少ない時代の工夫だった。県内の小学校でパン給食が始まった時からパンを提供し、70年代からは市内の高校でもコッペパンの出張販売を行ってきた。

長田町本店を訪れるとメニューが豊富で、カウンターの中には約50種もの具材が並んでいる。甘い具材は2種まで組み合わせられ、片面ずつ異なる具材を塗る「ミックス」、真ん中で味が分かれるように塗る「半々」がある。総菜系のメニューには好みの総菜をトッピングでき、味の組み合わせは2000種にも及ぶ。

9.jpg
長田町本店の店舗は、学校の校舎をほうふつとさせるたたずまい

5_MG_6565.jpg
カウンターにお品書きがずらりと並ぶのが直営店ならでは。どの組み合わせにするか悩ましい

6_MG_6609-Edit-4.jpg
すりおろしりんごジャム+バター185円 ジャム+ホイップクリーム195円 まっ茶+粒入りピーナツ210円 チキンミート+タマゴ366円  オリジナル野菜サンド+
じゃじゃみそ531円 コンビーフ(ポテトサラダ入)366円

10_MG_6575.jpg
店内のイートインコーナーで食べられる

一番人気はあん+バター。「70年頃、お店に立っていた母が、あんことバターのコッペパンを一つずつ頼まれ、うっかり一つのパンに塗り重ねたのがきっかけで生まれました」と3代目の潔(きよし)さん。スタッフが缶から具材をたっぷりとすくい、目にも止まらぬ速さで端まできれいに塗る様子に思わず見(惚)ほ れてしまう。

1_MG_6626._たびよみ.jpg

2_MG_6651_たびよみ.jpg
あん+バター 組み合わせ人気ランキング1位のあん+バター。バター入りマーガリンの塩気とあんこの甘みが絶妙な組み合わせ。中種法で作るコッペパンはふかふか。人気2位はピーナツ+バター、3位はジャム+バター(各185円)

3_MG_6801.jpg
注文すると、スタッフが竹のへらを使って具材を塗ってくれる

受け取ったコッペパンは大きく、大人の顔ほどある。軟らかく弾力のあるパンと、たっぷり塗られたあんことバター入りマーガリンの甘じょっぱさが絶妙なコンビネーションだ。パンの食感は創業当時からの中種(なかだね)法(※)によるものという。総菜系ならオリジナル野菜サンドに、じゃじゃみそトッピングが盛岡らしくておすすめ。シャキシャキの野菜にコクのある肉味噌(みそ)が良いアクセントだ。

※生地のこねを2度に分けて行う製法。使用する材料の一部をこねて発酵させたものに、残りの材料を加えてこね、発酵させて焼く。

7_MG_6748.jpg
あんこ、ピーナツ、イチゴとリンゴのミックス「ジャム」、バター入りマーガリンの「バター」など人気の具材は大きな缶に入っている。甘い具材はパンに塗りやすいよう特注品も多い。具材を多めにしたい時はプラス30円で「クリーム増量」もできる

8_MG_6767.jpg
手早く注文に応えてくれるスタッフの皆さん

直営店は盛岡バスセンター内など市内に3店、隣の矢巾(やはば)町の工場に併設の1店があり、一部商品は県内の主なスーパーやコンビニでも買える。全体で1日約1万個、繁忙期には約2万個も売れるそうだ。「夜焼き上げて朝出荷し、焼きたてに近い状態で提供しています」と潔さん。地元で愛されてきた味の秘密を知り、再訪しようと心に決めた。

4【お店提供】コッペパン焼き上がり.jpg
焼きたてのコッペパンが矢巾町にある工場から運ばれる。製造されるパンの98%がコッペパン(写真/福田パン)

文/堀内 志保 写真/堀内 孝ほか


※記載内容はすべて掲載時のデータです。

(出典:「旅行読売」2026年2月号)
(Web掲載:2026年1月20日)

◆盛岡市、岩手県など東北旅行・ツアーは👉こちら


Writer

堀内志保 さん

埼玉県生まれ。1999年から2年あまり社会人類学の調査でアフリカ大陸の沖に浮かぶマダガスカル島に滞在。『マダガスカルを知るための62章』(明石書店)では、市場と割礼祭の章を担当した。2003年から宮城県に住み、写真家の夫とともに東北各地の自然や歴史、食、温泉、手仕事などに触れ、新聞や雑誌に記事やエッセイを発表している。

Related stories

関連記事