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【天下取りの城へ】生野銀山の防衛を担った雲に浮かぶ〝天空の城〟竹田城

場所
> 朝来市
【天下取りの城へ】生野銀山の防衛を担った雲に浮かぶ〝天空の城〟竹田城

天守台から南千畳を見下ろす絶景は「日本のマチュピチュ」とも言われる(写真/朝来市)

雲海に山城の石垣が浮かんで見える神秘的な城

雲海に山城の石垣が浮かんで見える神秘的な光景から、〝天空の城〟と呼ばれるのが、兵庫県朝来(あさご)市の竹田城だ。姫路駅から播但(ばんたん)線1時間30分ほどの竹田駅が最寄りで、駅から天空バスで竹田城跡バス停まで上がり、そこから20分ほど歩くと竹田城跡入口に到着する。竹田城跡バス停の手前にある「山城の郷(さと)」にはレストランがあり、但馬(たじま)牛などの地元食材を使用した食事もとれる。

竹田城は室町期の守護大名・山名持豊(もちとよ<宗全>)が1443(嘉吉3)年に築かせたと伝わり、家臣の太田垣氏が7代にわたって治めた。ところが、1580(天正8)年に織田信長の命を受けた羽柴(豊臣)秀吉の軍勢に攻め込まれて落城。秀吉の弟・秀長が城代になる。

「もともと竹田城は山陰道などの街道を見下ろす交通の要衝ですが、実は城の15キロほど南方に生野銀山があります。秀吉は、最も信頼を置ける秀長に城代を任せたのでしょう」とは竹田城跡ボランティアガイドの上山哲生さん。秀長以降、城は桑山氏、赤松氏と豊臣方の武将に引き継がれ、竹田城の特徴である見事な石垣が築かれた。上山さんは「石垣は敵方に自らの権力や財力を見せつける役割もあったはず」と分析する。

南北約400メートル、東西約100メートルの城跡を見学していくと、石垣の壮大さに驚かされる。縄張りは古城山の頂上(標高353メートル)に本丸・天守台があり、南二の丸、二の丸、三の丸の曲輪(くるわ)が三方向に延びていた。

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竹田城の石垣は野面(のづら)積みで石工集団の穴太衆(あのうしゅう)が手掛けている(写真/朝来市)

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「子どもの頃はよく竹田城跡でチャンバラをして遊びました」と上山さん

見学後は、往路を戻らず登城路の一つだった駅裏登山道で下山した。なかなかの急勾配(こうばい)で、城主や家臣もさぞ苦労したに違いない。城主の居館跡を通り、法樹寺を訪ねると、登城路に祀(まつ)られていた西国三十三観音の石仏が本堂裏手に鎮座していた。

最後の城主・赤松広秀は関ヶ原の戦いでは西軍に付いた。敗戦後は鳥取城攻めで名誉挽回(ばんかい)を図るが、城下町に火を放った罪を問われて自刃(じじん)し、竹田城は廃城となった。

「赤松広秀は養蚕(ようさん)や漆器(しっき)などの産業を奨励し、領民からは仁政の主君として慕われました。明治期に民間へ払い下げにならなかったことも大きいですが、領民が廃城後も主君を偲(しの)んで大切に守ってきたおかげで、今の姿を残したのだと思います」

上山さんの説明を聞き、城下町から城跡を見上げると、陽光に輝く美しい石垣が見られた。

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竹田駅から徒歩3分の「情報館天空の城」にはジオラマや出土品の瓦などが展示されている

ここにも立ち寄りたい


立雲峡

朝来山の中腹を整備した公園。雲海に浮かぶ竹田城の撮影スポットとして人気が高い。園内には三つの展望台があり、眺望の良い第1展望台へは駐車場から徒歩40分ほど。雲海(朝霧)が出やすいのは寒暖差のある秋の早朝。「但馬吉野」と呼ばれる桜の名所で、春は一面に老桜が咲く。
■見学自由/300円(環境整備協力金)/播但線竹田駅からタクシー5分で駐車場/TEL:079-674-2120(情報館 天空の城)

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立雲峡からの風景。雲海は9月下旬から12月上旬に出現する可能性が高い(写真/朝来市)

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第1展望台近くに近年「立雲峡テラス」が整備された

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老桜が咲く春の風景(写真/ピクスタ)

🏯お城豆知識

本丸の北西側に「花屋敷」と呼ばれる四角形の曲輪がある。搦手(からめて<裏門>)を守るための施設で、鉄砲(てっぽう)用に石塁をくぼませた鉄砲狭間(ざま)が残っている。平時は薬草などを栽培したためこの名前が付いたとも。現在、立ち入り禁止だが、曲輪は本丸西側や南千畳への通路から遠望できる。

文・写真/内田 晃


<竹田城> 100名城

■御城印:あり(300円〜)
■入城:10時~15時(時期により異なる)/1月4日~2月末は閉山/観覧料500円
■交通:播但線竹田駅からバス20分、竹田城跡下車徒歩20分で入口(西登山道)。または竹田駅から徒歩40分で入口(駅裏登山道)
■住所:朝来市和田山町竹田古城山169
■問い合わせ:TEL079-674-2120(情報館 天空の城)

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※記載内容はすべて掲載時のデータです。

(出典:旅行読売2026年2月号)
(Web掲載:2026年2月26日)


Writer

内田晃 さん

東京都足立区出身。自転車での日本一周を機に旅行記者を志す。四国八十八ヵ所などの巡礼道、街道、路地など、歩き取材を得意とする。著書に『40代からの街道歩き《日光街道編》』『40代からの街道歩き《鎌倉街道編》』(ともに創英社/三省堂書店)がある。日本旅行記者クラブ会員

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