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【歩く旅】ソメイヨシノの故郷、桜を愛する街の歴史をたどる<駒込>

場所
> 豊島区
【歩く旅】ソメイヨシノの故郷、桜を愛する街の歴史をたどる<駒込>

駒込駅の発車メロディーは「さくらさくら」。駅周辺にも多くの桜が咲き誇る。3月下旬〜4月上旬が見頃

街の人々がいかに桜を愛しているかが伝わる〝桜色の郵便ポスト〟

ソメイヨシノは江戸末期に染井村の植木屋により全国に広められたと言われる。染井村とは、現在の豊島区駒込の辺りである。桜の季節、ソメイヨシノの故郷を歩いてみよう。としま案内人駒込・巣鴨でボランティアガイドを務める萩原寿夫(ひさお)さんに案内してもらった。

「さくらさくら」のメロディーが響く駒込駅を出ると、桜色の郵便ポストが目に飛び込んでくる。街の人々がいかに桜を愛しているかが伝わってくるようだ。駅の向かいにある「染井吉野桜記念公園」には、ソメイヨシノとともに、その〝両親〟であるエドヒガンとオオシマザクラが並んで植えられている。

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駒込駅北口にある桜模様の郵便ポストは人気の撮影スポットだ

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染井吉野桜記念公園の「染井吉野桜発祥の里」の碑。その向こうにソメイヨシノが枝を広げる

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萩原寿夫さん

染井通り周辺は江戸時代に植木屋が軒を連ねていた所。小川や畑もある公園「私の庭みんなの庭」には「花咲か七軒町植木の里」の碑が立ち、地域の人々に親しまれている。

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「私の庭みんなの庭」に立つ、長屋をイメージした休憩所

通りの中ほどを脇に逸(そ)れると、「門と蔵のある広場」だ。植木屋の一人、丹羽(にわ)家の屋敷跡で、江戸時代の門と蔵が残され、アメリカのワシントンから里帰りしたソメイヨシノも植えられている。 「屋敷の規模から丹羽家は植木屋の上位にいたようです。当時の植木屋の代表が伊藤伊兵衛政武(いとういへいまさたけ)。そのお墓が西福寺(さいふくじ)にあります」

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門と蔵のある広場に残る大きな門は、植木の里として栄えたこの地の歴史を物語る

萩原さんに教わり、桜並木の道を西福寺へ。この一帯は空襲で焼け野原になり、樹木はほとんど残らなかった。戦後、ソメイヨシノの故郷に再び桜を植えようと、西福寺の住職が先頭に立ち尽力したという。

西福寺の向かいは、多くの種類の桜が植えられた「染井よしの桜の里公園」。「これらは咲く時期が違うので長い期間、桜を楽しめるんですよ」と萩原さん。その一角で桜の苗木が育てられていた。「地域の人たちが協力し、ソメイヨシノの苗木を全国に提供しています」 。接ぎ木で育てる苗作りは簡単ではない。しかし、かつてここから全国へ広がったソメイヨシノ発祥の地としての誇りを胸に、街の人たちはこの花を愛し続けているのだ。

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染井よしの町会の人々が協力し、ソメイヨシノの苗木を育てている

最後に、戦前の桜が残るという染井霊園を訪ねた。外人墓地に太く雄大な古木が、空を覆うように大きく枝を広げていた。

花見散歩を楽しんだ後は、霊園のすぐ近くにある東京染井温泉「SAKURA(サクラ)」へ。のんびりと湯につかりながら、桜の花がたどる歴史の旅に思いを馳(は)せた。

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広い染井霊園の一角、外人墓地の周辺では桜の古木が今も元気に花を咲かせている

東京染井温泉「SAKURA」

2025年夏にリニューアルオープンした日帰り入浴施設。地下1800メートルから湧く天然温泉は、含ヨウ素―ナトリウム塩化物強塩温泉。ミネラル豊富な湯でじっくり温まれば、肌もツルツルに。岩盤浴や休憩所、レストランも併設する。
■10時〜22時30分/無休/2100円(土・日曜、祝日は2900円)/山手線駒込駅から徒歩8分、巣鴨駅から無料シャトルバスもあり/豊島区駒込5-4-24/TEL:03-5907-5566

8.温泉外観01.jpg

9.温泉和風呂.jpg

文・写真/阪口 克ほか


◉モデルコース
[徒歩距離◎2キロ9]
[徒歩時間◎30分]

山手線駒込駅 START
 ↓ 20メートル(すぐ)
🌸染井吉野桜記念公園
 ↓ 700メートル(10分)
🌸門と蔵のある広場
 ↓ 120メートル(2分)
🌸西福寺
 ↓ 30メートル(すぐ)
🌸染井よしの桜の里公園
 ↓ 400メートル(5分)
🌸染井霊園
 ↓ 120メートル(2分)
東京染井温泉「SAKURA」
 ↓ 600メートル(8分)
山手線巣鴨駅 GOAL
※🌸は桜を楽しむスポット

※記載内容はすべて掲載時のデータです。

(出典:「旅行読売」2026年4月号)
(Web掲載:2026年3月9日)


Writer

阪口 克 さん

奈良県出身。航空会社機内誌や、多くのアウトドア雑誌で取材と撮影を担当する。オーストラリア大陸1万2000キロを自転車で一周し、帰国後フリーランスに。自宅は家族・友人とDIYで建築。旅と自然の中の暮らしをテーマに活動。著書に「家をセルフでビルドしたい」(草思社文庫)「冒険食堂」(ヤマケイ新書)「焚き火のすべて」(草思社)など。

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