東京駅から東西南北へ1万歩(4)北は田端【駅から歩こう1万歩】
大きな瞳が愛らしい上野恩賜公園の西郷隆盛像をパチリ
上野、寛永寺、谷中、下町風情を感じながら
東京駅から東西南北へ1万歩(3)南は品川【駅から歩こう1万歩】から続く
いよいよ最後の北コースだ。ゴールの田端駅までの途中には、電気製品や若者文化の街・秋葉原、文化芸術の中心地・上野恩賜(おんし)公園、下町風情が残る谷中銀座などがあり、否が応でも好奇心がかき立てられる。
東京駅日本橋口を出発して日本橋川に架かる常盤橋を渡ると、日本銀行本店が見えてくる。通りを挟んだ三井本館は、古代ローマ風の巨大な円柱が特徴。中央通りに入るとコレド室町(むろまち)、日本橋三井タワーなど、昔の景観を残しつつ再開発された複合高層ビルが続いていた。
JRの高架を2度くぐると、神田川の万世橋に出る。橋のたもとにはかつて国鉄万世橋駅があり、現在はマーチエキュート神田万世橋(商業施設)になっている。万世橋を渡ると家電量販店、アニメ・ゲームの専門店、メイドカフェなどが混在した秋葉原ならでは光景が続く。
そのまま北上を続けると、上野公園前交差点に着く。右側に道1本入れば400以上の店舗が連なる上野アメ横商店街に出るが、ここは左側の坂道に進み上野恩賜公園へ。
元々は徳川家の菩提寺・寛永寺の境内地だったが、明治期に日本初の公園の一つになった。園内には約12万件の収蔵品を誇る東京国立博物館、世界文化遺産に登録された国立西洋美術館、世界の著名な指揮者やアーティストが名演を繰り広げた音楽の殿堂・東京文化会館、日本初の動物園・上野動物園など、文化・芸術施設が集まっている。
公園を出て寛永寺に参拝したら、谷中霊園に入る。明治期に整備された墓地で、渋沢栄一、横山大観、鳩山一郎など多くの著名人が眠り、隣接の寛永寺谷中第二霊園には最後の将軍・徳川慶喜の墓もあった。
谷中霊園内の五重塔跡から5分ほど歩くと彫刻家・朝倉文夫の自宅兼アトリエを使用した朝倉彫塑館があり、その先には昭和レトロな谷中銀座商店街が待っている。メンチカツ、手作り飴、焼き菓子などの食べ歩きが楽しい。経王寺脇の諏訪台通りを進み、西日暮里駅に出て線路沿いの坂道を上ると田端駅に到着だ。
文/内田 晃 写真/内田 晃、齋藤雄輝ほか
【モデルコース】
●徒歩距離/約7.7キロ
●徒歩時間/約2時間40
東京駅(日本橋口)
(2000メートル)
万世橋
(150メートル)
秋葉原駅
(1400メートル)
上野恩賜公園
(1450メートル)
寛永寺
(250メートル)
谷中霊園
(800メートル)
台東区立 朝倉彫塑館
(250メートル)
谷中銀座商店街・肉のすずき
(650メートル)
西日暮里駅
(700メートル)
田端駅(南口)
立ち寄りたい沿線のスポット
谷中銀座商店街の行列店。元気メンチカツ1個280円は国産牛の肩バラ肉とオーストラリア産牛のモモ肉の牛肉100%で、ラードにヘット(牛脂)を加えた油で揚げる。油は1日3回交換するので胃もたれしない。隠し味のスパイスが絶妙でそのまま食べるのがおすすめ。
■10時30分〜18時(売り切れ次第閉店)/月・火曜休/山手線ほか日暮里駅から徒歩5分/TEL03-3821-4526
※記載内容はすべて掲載時のデータです。
(出典:「旅行読売」2024年6月号)
(Web掲載:2024年7月2日)