【歩く旅】海に架かる橋を歩こう~そこは、「あっち」でも「こっち」でもない異空間~
【来島海峡大橋】広島県尾道市と愛媛県今治(いまばり)市を結ぶ全長約70キロのしまなみ海道(かいどう)の南端に架かる、全長4105メートルの三連つり橋。自転車歩行者道が併設され、今治市の糸山公園を起点に第三大橋~第二大橋~第一大橋と歩くと、対岸の大島まで所要約1時間30分。最高所は海面から約65メートル。瀬戸内の島々、行き交(か)う大小の船の眺めが爽快だ。(写真/宮川 透)
歩いたり、渡ったりすることができる海上の橋
クルマや列車での移動中、橋にさしかかるとふと心が動く時があります。東京都心に架かる「レインボーブリッジ」や「東京ゲートブリッジ」、港町横浜を見渡す「横浜ベイブリッジ」……。あるいは眼下に潮が渦(うず)巻く「大鳴門(なると)橋」、これが瀬戸内の多島美かと実感できる「来島(くるしま)海峡大橋」などが思い浮かびます。実はこれらはいずれも橋上を歩いたり、渡ったりすることができるのです。
クルマや列車だと数分間の出来事ですが、例えば「レインボーブリッジ」の歩行者専用区間を歩ききるには30分近くかかります。時間を要する分、見えてくるものは多くなります。都心部のビル群や埋立地・お台場の様相に東京という街のエネルギーを再認識し、スカイツリーや東京タワーも遠望できます。東京の海の上にいるという非日常感にも包まれることでしょう。

【レインボーブリッジ】全長798メートル、東京都港区の芝浦地区と台場地区を結ぶ。2階建て構造で上部に首都高速、下部にゆりかもめが走り、その両側に一般道と遊歩道がある。遊歩道の距離は約1.7キロ。途中に展望スペースやベンチもあり、昼間の青い海、夕焼け、夜のライトアップと時間帯や季節により違った景色が広がる。(写真/東京間鯉財団)
言うまでもなく道には多くの橋が架かっています。川や湿地に丸太を渡しただけの原始的なものから始まった橋は、木製、石やレンガ造り、鉄製、鉄筋コンクリート製へと進化してきました。「橋」の語源は、こちら側の「端」と向こう側の「端」をつなぐから、という説もあります。だとすると、橋はあっちでもこっちでもない異空間と言えます。近代の巨大な橋はその空間がことさら長いゆえ、見える景色の新鮮味や美しさも加わって非現実感が生まれます。だから心が動くのでしょうか。歩けるのであれば歩いてみませんか?そんな橋の前後には、美しい道が続いていることもお忘れなく。

【大鳴門橋】鳴門海峡をまたいで兵庫県の淡路島と徳島県鳴門市を結び、全長1629メートル。鳴門市側に約450メートルの遊歩道「渦の道」があり、潮風に吹かれながら散歩が楽しめる。終端の展望台から海峡を一望。足元から45メートルの真下に鳴門の渦潮を見下ろせる。渦潮の出現が期待できる時間は毎日変わるので、事前に調べてから訪れたい。
文/渡辺貴由
※記載内容はすべて掲載時のデータです。
(出典:「旅行読売」2026年4月号)
(Web掲載:2026年4月21日)


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