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【歩く旅】武家屋敷通りを彩るシダレザクラと桧木内川堤のソメイヨシノの競演<角館>(1)

場所
> 仙北市
【歩く旅】武家屋敷通りを彩るシダレザクラと桧木内川堤のソメイヨシノの競演<角館>(1)

角館武家屋敷通りの周辺では、シダレザクラが黒板塀によく映える。見頃は4月中旬~下旬。4月15日〜5月5日には角館の桜まつりが開催される(写真/仙北市観光課)

桜の開花とともに訪れる春

みちのくの小京都と呼ばれる角館はこの冬、豪雪と寒波に見舞われた。長くて厳しい冬を乗り越え、人々が心から待ち望む春は、桜の開花とともに訪れる。北国の春を肌で感じてみたいと旅に出た。

秋田新幹線の角館駅を降りると、武家屋敷をモチーフにした駅舎に旅情をかきたてられた。角館は江戸時代初期、蘆名(あしな)義勝によって整備され、その後は佐竹北家(さたけきたけ)に引き継がれた。山と川に囲まれた地形を生かした城下町は、北側に武家町、南側に町人町の町割りが今も残る。駅があるのは町の東端。まずは角館武家屋敷通りを目指して西へと歩く。

火除(よ)けと呼ばれる広場から北が武家町の内町(うちまち)だ。角館武家屋敷通りを北へ歩くと、地面に降り注ぐように花を付けたシダレザクラと黒板塀や薬医門がコントラストを描く光景があちこちで見られるという。あまりの美しさにうっとりと見ほれてしまうことだろう。内町のシダレザクラは約100本。角館全体では約400本を数え、そのうち162本が国の天然記念物に指定されている。

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春らんまん満開のサクラ

まずは角館樺(かば)細工伝承館に立ち寄る。樺細工はヤマザクラの樹皮を用いて作られる工芸品だ。藩政時代は下級武士の手内職でもあった。「昔は印籠(いんろう)や煙草(たばこ)入れ、今は茶筒が多く作られています。時代とともに変化していますが、どれも暮らしに密着した物ですね」とスタッフの高橋百合子さんは話す。展示室では秋田県知事賞の受賞作品が展示され、技が光る一点物の秀作をじっくり鑑賞できる。伝統工芸士による製作実演も行われているので間近で見学しよう。 

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角館樺細工伝承館もシダレザクラに彩られる。3月29日までひな人形展、4月は打掛展(予定)を開催
■9時〜16時30分(12〜3月は〜16時)/年末年始休/500円/TEL:0187-54-1700

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樺細工の製作実演は4〜11月は毎日、12〜3月は土・日曜、祝日9時30分〜16時(12〜13時は休憩)

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館内には樺細工などを扱う売店がある

武家屋敷「石黒家」は、現在も家族が暮らしており、一部が見学者向けに公開されている。母屋は築200年を超え、角館に現存する最古の武家屋敷だ。石黒家は代々、財務を担当する役職に就き、1853年にこの屋敷に移り住んだ。座敷には3月中旬までひな人形、4〜5月は五月人形が飾られる。「家に伝わる物を展示して、皆さんに角館の武家文化や生活様式を伝えています」と13代目当主の石黒直伸(なおのぶ)さんは語る。

5.石黒家前シダレザクラ(仙北市観光課).jpg
通りに覆いかぶさるように咲く石黒家のシダレザクラ
■9時〜17時(12〜3月は〜16時)/不定休/500円/TEL:0187-55-1496(写真/仙北市観光課)

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角館武家屋敷通りは桧木内川堤とともに桜まつり期間中はライトアップが行われる

4.石黒家館内_8251.jpg
石黒家に飾り付けられる五月人形。角館では、五月人形の季節と桜の開花時期が重なる

さらに石黒さんは「350年あまり前、佐竹北家2代の義明(よしはる)の正室が、京都からお輿(こし)入れした際に3本の桜を持参し、その実生(みしょう)の苗を家臣に譲り育てたものだと伝わっています」と角館のシダレザクラの由来を教えてくれた。咲き誇るシダレザクラを眺めながら、ロマンあふれる歴史に思いを巡らせたい。

角館武家屋敷通り

表町上丁から東勝楽(ひがしかつらく)丁にかけて南北に走る全長約700メートルの通り。国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。6間(けん<10.8メートル>)の道幅は藩政時代から変わらない。建物が立ち並ぶ町人町と対照的に、武家町の屋敷は深い木立に覆われ、黒板塀や薬医門が残る。

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角館武家屋敷通りは桧木内川堤とともに「日本さくら名所100選」に選ばれている(写真/ピクスタ)

地図_角館.jpg

文・写真/堀内志保ほか

【歩く旅】武家屋敷通りを彩るシダレザクラと桧木内川堤のソメイヨシノの競演<角館>(2)へ続く(3/24公開)


◉モデルコース
[ 徒歩距離◎5.2キロ ]
[ 徒歩時間◎1時間13分 ]

🌸秋田新幹線角館駅 START
 ↓ 1キロ(15分)
🌸角館武家屋敷通り(火除け)
 ↓ 450メートル(6分)
🌸角館樺細工伝承館
 ↓ 180メートル(2分)
🌸武家屋敷「石黒家」
 ↓ 550メートル(8分)
🌸桧木内川堤
 ↓ 1.2キロ(16分)
お食事処 桜の里
 ↓ 550メートル(7分)
かくのだて温泉
 ↓ 300メートル(4分)
🌸安藤醸造本店
 ↓ 1キロ(15分)
角館駅 GOAL

※🌸は桜を楽しむスポット

■問い合わせ/TEL:0187-54-2700(仙北市観光情報センター「角館駅前蔵」)

※記載内容はすべて掲載時のデータです。

(出典:「旅行読売」2026年4月号)
(Web掲載:2026年3月23日)


Writer

堀内志保 さん

埼玉県生まれ。1999年から2年あまり社会人類学の調査でアフリカ大陸の沖に浮かぶマダガスカル島に滞在。『マダガスカルを知るための62章』(明石書店)では、市場と割礼祭の章を担当した。2003年から宮城県に住み、写真家の夫とともに東北各地の自然や歴史、食、温泉、手仕事などに触れ、新聞や雑誌に記事やエッセイを発表している。

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