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【お得きっぷで鉄道旅】コラム「私、青春18きっぷを卒業しました」(鉄道ライター・杉山淳一)

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 【お得きっぷで鉄道旅】コラム「私、青春18きっぷを卒業しました」(鉄道ライター・杉山淳一)

24年のキュンパスは指定席を2回使えた。行きと帰りは新幹線でワープ!!

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すぎやま・じゅんいち
1967年生まれ。乗り鉄、書き鉄。都立日比谷高校卒。信州大学経済学部、信州大学工学系研究科博士前期課程修了。IT系出版社で広告営業を担当した後、96年からフリーライター。主に鉄道分野を執筆。著書は『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。日本全国列車旅、達人のとっておき33選』(幻冬舎)ほか。

「老春60きっぷ」希望!

青春18きっぷのルールが2024年冬季に変更され、1日間用5回分から、連続3日間と連続5日間の2種になった。ネット上では批判の嵐だったが、26年も同じルールで販売されている。

青春18きっぷは「18」とあるのだが、サッカーなどのU18(18歳以下)と違って、年齢制限はない。だから大人たちにも人気がある。値段が安いだけではなく、〝乗り放題〟に魅力がある。なにかと制約がある大人にとって、行先を決めなくてよく、どこで乗っても降りてもよいのはありがたい。

例えるなら、ビュッフェ形式の食べ放題レストランだ。とはいえ、若い頃のように元を取ろうとしなくてもよい。多種多様な料理の中から、好きな物を好きなだけ選べる。そんな「自由さ」が青春18きっぷの魅力だ。

しかし、私は青春18きっぷを使わなくなってしまった。ルールが変わったからではない。自分の旅のスタイルに合わなくなったからだ。旧ルール時代にも、5日間も旅に費やせないことがあった。2泊3日の旅をして、余った回数を数百円程度のきっぷの代わりに消化したこともある。だから新ルールの連続3日間用1万円の方がありがたいくらいなのだが、公私とも多忙の身であり、いまや3日間も休みを取れないのだ。

使えるフリーきっぷとは?

そんな私がオススメするフリーきっぷは、JR東日本が2月から3月にかけて設定する「旅せよ平日!JR東日本たびキュン♥早割パス(キュンパス)」だ。平日1日間用が1万円、平日連続2日間用で1万8000円。JR東日本エリアといくつかの第3セクター鉄道に乗り放題で、特急や新幹線にも乗れる。普通車指定席も1日間用なら2回、2日間用は4回まで使える。

このきっぷが誕生した24年に、私は「横手やきそば」を食べに秋田県まで行った。東京駅から山形新幹線「つばさ」に乗って新庄駅へ、E3系電車の乗り納めだ。そこから奥羽線の普通列車で横手駅へ。駅前の店で横手やきそばを食べて、北上線に乗る。以前、全線完乗の旅で乗ったときは途中から暗くなり、景色がよく見えなかった。明るいうちにもう一度、乗ってみたかった。

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横手駅前の食堂で食べた「横手やきそば」と「モツ煮」

25年は常磐線で旅した。水戸市の偕楽園(かいらくえん)で梅林を歩き、ひたちなか海浜鉄道で「ひたちなか開運鐵道神社」と「ほしいも神社」に参拝。ガラス張りで有名な日立駅構内のカフェでパンケーキを味わい、仙台で仙台味噌ラーメンを食べた。

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偕楽園の梅林を通り抜けると絶好の列車撮影ポイントがあった

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ひたちなか海浜鉄道の阿字ヶ浦駅構内にある「鉄道神社」。無事故で引退したディーゼルカーが交通安全の神としてまつられている

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ガラス張りの駅として知られる日立駅。海を眺められるシーバーズカフェは、パンケーキが評判

今年はうっかり買いそびれてしまったが、2日間用ができたので、弘前で1泊し、弘南鉄道大鰐(おおわに)線に乗るつもりだった。この旅は来年に延期するつもりなので、27年もぜひ発売してほしい。欲を言えば、他の季節にも販売してくれたらうれしい。

旅は目的地へ向かう強い気持ちから始まる。しかし、キュンパスに限らず、地域限定のフリーきっぷの場合、目的地は後回しになる。普段なら昼飯のためにわざわざ秋田まで行こうとは思わないけれど、キュンパスがあるなら焼きそばを食べに横手に行く気になるのだ。常磐線の旅の場合は、キュンパスが目的地をうまく束ねてくれた。

いつかは立ち寄ろうかな、という場所があるなら、きっとフリーきっぷが背中を押してくれるはずだ。全国にはおトクなフリーきっぷがたくさんある。私は毎週、鉄道各社の公式サイトを注意深く観察している。市販の時刻表も、巻頭ページに各方面のフリーきっぷなどがまとめられており、探しやすい。

青春18きっぷよりちょっと高いだけで、特急やグリーン車に乗れるフリーきっぷはいくつもある。青春18きっぷは学生さんに任せて、大人は「少し高めのフリーきっぷ」を使った方がいいのではないか。きっとJRグループもそう思っているだろう。

などと思いを巡らせていたところ、還暦直前の私に「年金定期便」が届いた。毎月の受け取り年金額を見てため息が出る。そして思う。「旅に出るなら、やっぱり青春18きっぷが一番おトクだな」と。JRさん、いっそ「老春60きっぷ」を発売してくれないか。

文・写真 杉山淳一(鉄道ライター)


※記載内容は掲載時のデータです。

(出典:旅行読売2026年7月号)
(Web掲載:2026年7月8日)


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