【お得きっぷで鉄道旅】埼玉県本庄市で「笑う埴輪」に遭遇~休日おでかけパスで日帰り旅~
写真/本庄早稲田の杜ミュージアム
6世紀後半に作られた「前の山古墳」から出土した「盾持(たてもち)人物埴輪(はにわ)」。高さ約115センチ。石室入り口の両側に配置されていた。
■本庄早稲田の杜ミュージアム/9時~16時30分/月曜(祝日の場合は翌日)休、年末年始休/無料/TEL:0495-71-6878

上の路線図を見てのとおり首都圏の広いエリアと、東京臨海高速鉄道、東京モノレールが1日乗り降り自由の「休日おでかけパス」(2950円)。JR線は普通列車(快速を含む)自由席に限定されるが、別途特急券を買えば東北・上越新幹線や特急にも乗れる。存在は知っていたが、使ってみなければ価値は分からない。ということで、初夏の休日の一日、行き先を考えた。
目についたのは、上越新幹線本庄早稲田駅。このきっぷの埼玉県方面の北端に近いが、一度も降りたことはない。せっかくならお得度を稼ぐためにも、有効範囲の端っこまで行ってみたい。そんな理由で本庄早稲田駅に決めた。しかし新幹線(自由席2080円)に乗るのは憚(はばか)られる。地図を見ると高崎線本庄駅が近くにある。高崎線のきっぷ有効範囲である神保原(じんぼはら)駅の一つ手前だ。本庄駅から本庄早稲田駅まではバスで13分。各駅停車でのんびり行こう!
東京駅を起点とすると本庄駅までは1600円。格段にお得というわけではないが、筆者は神奈川県在住。横浜―本庄駅間は2090円と、お得度が増す。そう、このきっぷを賢く使うコツは、発駅から遠くの駅を目指すこと。例えば千葉―奥多摩駅間は2090円、大宮―小田原駅間は2090円、八王子―成田空港駅間は2420円。遠回りしてほかの目的地を経由すれば、どんどんお得になる。

高崎線の本庄―岡部駅間(写真/ピクスタ)
近県にある町の魅力を発見
本庄駅から本庄早稲田駅へ向かうと、新幹線の駅でありながら駅前は閑散とした雰囲気だが、見知らぬ土地へ来たという非日常感に旅心が刺激される。南口の目の前にはこんもりとした丘と森が広がり、新緑が揺れていた。この緑豊かな丘陵地にあるのが、下調べで見つけた「本庄早稲田の杜ミュージアム」だ。
ここは2020年に開館した、本庄市と早稲田大学が所蔵する資料を共同で展示する施設。入館無料というのもありがたい。ここに決めた理由がもう一つ。「笑う埴輪」だ。
本庄では3世紀後半から4世紀前半にかけて古墳が築かれ始め、4世紀後半から6世紀にかけて多種多様な埴輪が作られた。ミュージアムには家形、馬形、円筒、人物など様々な埴輪が展示され、その種類の豊富さに驚かされた。
中でもひときわ目を引いたのが、満面の笑みを浮かべているかのように見える、笑う「盾持人物埴輪」だ。三日月形に切り抜かれた目、大きく開いて口角を上げた口、大きな鼻と耳。見ている者も笑いを誘われるようなユニークな表情を、正面から左右からと角度を変えてしばし見入ってしまった。全国的にも珍しい埴輪で、口には歯を模した何かが埋め込まれていたとも推測され、笑っているだけではなく威嚇の表情でもあるのではという。
表情豊かな埴輪に出合えただけでも大満足。本庄市内で確認されている古墳の数は600以上!とも聞き、自分の知識の至らなさを痛感するとともに、「休日おでかけパス」を活用すれば、近場でも新たな発見ができることを再認識した。
本庄は旧中山道の宿場町でもあり、本庄駅界隈(かいわい)には古い町並みが残る。本庄総合公園では7月にハスの花が咲き、マリーゴールドの丘公園ではアジサイやヒマワリも見ものという。次回は古墳と花巡りもいい。
このきっぷは、夏休み期間などは土・日曜、祝日に限らず毎日使えるのもありがたい。

本庄総合公園のハスの花。高崎線本庄駅からタクシー5分。TEL:0495-25-1174(本庄市観光協会)

本庄駅から徒歩10分の旧街道沿いにある旧本庄商業銀行煉瓦倉庫。1896年築。繭(まゆ)の集積地としてにぎわった当時の様子を伝える
文/渡辺貴由
※記載内容は掲載時のデータです。
(出典:旅行読売2026年7月号)
(Web掲載:2026年7月22日)


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