ナニコレ!?みやげ石川県の巻 金澤美人珈琲
【価格】左から「舞」、「華」、「醸」、いずれも2杯入り540円
2015年3月の北陸新幹線金沢駅開業の約1年半前、13年9月に、金沢に本社があるダートコーヒーが販売を始めたのが「華(はな)」と「舞(まい)」の2種類のブレンドの「金澤美人珈琲」。18年6月からは、日本酒の香りが仄(ほの)かに漂う新しい商品「醸(かもし)」も加わり、3種類となっている。
伝統工芸の粋。金箔を浮かべ豪華絢爛に、飲む芸術品
金沢らしい豪華絢爛なパッケージの中に、カップのふちにひっかけて直接熱湯を注ぐドリップコーヒーバッグが2杯分入っている。抽出後のカップに、金沢のシンボルともいえる金箔を浮かべる。いわばコーヒーの芸術品ともいえる飲み物だ。
加賀百万石の城下町金沢は、世界にも誇れるほどの様々な伝統工芸の職人たちのワザが集積している。中でも金箔は国内生産量の99%を占め、金箔で飾った工芸品も多い。
創業70年を超える同社は、業務用コーヒーの扱いが多い。水上慎太郎社長は、「新しい方向性を模索する中、新幹線開通によるお土産需要をにらんで、若手中心のプロジェクトチームが提案した第一弾商品が『金澤美人珈琲』だった」と言う。
「華やかで上品」「金沢芸妓の舞い」をイメージ
「華」と「舞」は水上社長自身が「華やかで上品な一文字、金沢芸妓の舞いをイメージして」つけた。「華」はブラジル、ホンジュラス産などのあでやかな味わい、「舞」はブラジル、インドネシア産などで重厚感がある。
金沢を離れても、みやげに持ち帰ったコーヒーに浮かぶ金箔の燦(きら)めきで旅の思い出が蘇る、そんな一品である。
「日本のコーヒー」である「醸」の誕生まで
さて、「醸」が加わるまでには、どんな経緯があったのだろうか。
ダートコーヒーの研究室では、ある業務部社員が、おいしい香りのコーヒー、そして金沢ならではのコーヒーの開発に励んでいた。コーヒーの香りのもととなるものに、産地での「発酵」工程がある。「モカ」のフレーバーはその一例だ。金沢は発酵文化の盛んな土地柄である。この社員は、原料の生豆を発酵させることで新たな香りが生まれるのではとの発想から、発酵食品との融合を試みた。
2015年には石川県活性化ファンド事業として採択され実験は本格化。あらゆる発酵食品との融合を重ねたが、なかなかこれといった香りを持ったものは出来なかった。
「カフェ・ロワイヤル」からヒントを得る
この社員は日本酒を賞味しているとき、もともとコーヒーには「カフェ・ロワイヤル」と呼ばれるメニューがあることを思い出した。スプーンに角砂糖を乗せ、ブランデーを注いで染み込ませる。角砂糖に火をつけ、コーヒーに落として飲むのが「カフェ・ロワイヤル」だ。そこから、日本酒の華やかな吟醸香をコーヒーの香りに加えることを思いついた。
日本酒の吟醸香が強すぎてもダメ、時間が経過してせっかくの香りが消えてしまってもダメ、と様々な実験を繰り返し、2年余りの歳月が流れた。
その結果、コーヒーでありながら、仄かに吟醸香の漂う吟醸フレーバーのコーヒーが出来上がった。それはモカ・フレーバーとも異なっている。
酒の吟醸香の華やかさ、コーヒーの柑橘系の味わいを併せ持つ
酒の吟醸香という、これまでにない華やかさを持ち、それでいてコーヒーの柑橘系の味わいは壊さない「日本のコーヒー」となった。
使用する日本酒では、金沢地元の酒蔵「福光屋」とコラボし、金沢らしさはより強まった。このようにして、金沢の発酵文化をもとにした「金澤珈琲」の新たなテイスト・スタイルが誕生したのである。
買える場所
県内のダートコーヒー直営店舗、JR金沢駅構内、観光地や宿泊施設の土産物店など
お取り寄せ情報
ダートコーヒー・オンラインショップ
https://www.dartcoffeeshop.jp/
問い合わせは、ダートコーヒー本社(TEL076・261・1234)
出典:「旅行読売」2017年4月号(「醸」についての部分を除く)
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