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ガウディへの旅(2)モンセラートから「偉大な自然」を見晴らす

場所
> バルセロナ
ガウディへの旅(2)モンセラートから「偉大な自然」を見晴らす

修道院付属大聖堂には大勢の巡礼者が訪れる©Abadía de Montserrat


モンセラートの修道院前の広場から下界を眺め、ガウディの「偉大な自然」という言葉の意味をかみしめる。ガウディは、自然について「偉大な教科書」、「われわれが、読む努力をすべき素晴らしい本」だ、とも語った。

洞窟で見つかったと伝わる、黒い聖母マリア像

このような険しい山の上に修道院が建てられた理由については、こんな言い伝えがある。880年のこと、羊飼いの子どもたちが、雲間から美しい光が差し、山の中に降り注いだのを目撃した。光が降り注いだ辺りにあった洞窟で、聖母マリア像が見つかり、カトリック聖職者が麓におろそうとした。しかし、重くて運べなかったため、山上に安置することになった。

大聖堂内部
大聖堂内部

肌が黒く見えることから「黒い聖母マリア」として知られるこの像は、幼子キリストを抱きかかえ、右手には、「天球」とされる球体を持っている。強化ガラスで防護された聖母像は、球体だけは露出していて、巡礼者たちが触れられるようになっている。

「黒い聖母マリア像」。幼子キリストを膝に乗せ、右手には「天球」を持つ
「黒い聖母マリア像」。幼子キリストを膝に乗せ、右手には「天球」を持つ

聖母像を間近で見て、球体に触れることができる順路に入るための長い列に並んだ。待つこと1時間。係員らしい人が、順路の扉が閉じる時間が近づいていることを知らせながら歩いて来た。目の前にいた年配の女性二人連れが振り向く。その一人が、「私たちは地元だから、またこの次にする。あなたは遠方からみたいだから、入れるといいですね」と言い、二人は手を振りながら立ち去った。列がみるみるうちに短くなる。地元の人たちの心遣いにも助けられて、扉の中に入ることができた。球体に触れながら見上げた聖母マリアの表情は、慈愛に満ちていた。聖地モンセラートの風景を胸に刻み、バルセロナに戻る。

大聖堂の外には、巡礼者たちが供えたおびただしいロウソクの火が灯っていた
大聖堂の外には、巡礼者たちが供えたおびただしいロウソクの火が灯っていた

Writer

藤原善晴 さん

月刊「旅行読売」編集部に2019年12月まで勤務。現在読売新聞東京本社文化部。瀬戸内海が見晴らせる広島県安芸津町風早(現・東広島市)生まれ。レトロブームということもあり、最近は「昭和」という言葉に敏感に反応。また、故郷が「令和」の典拠となった万葉集ゆかりの地であるため、福岡県太宰府市、奈良県、富山県高岡市、鳥取県など各地の「万葉集」ゆかりのニュースにも目を光らせている。