ゆったり、とっとり日本遺産さんぽ 1~三朝町~
「六根清浄」が満願成就する地、国宝・投入堂
六根清浄と六感治癒の地 〜日本一危ない国宝鑑賞と世界屈指のラドン泉〜
三佛寺(さんぶつじ)本堂裏の受け付けで入山の手続きをすませ、三徳山(みとくさん)を登る。深い緑に覆われ、ときには道なきような険しい山道を歩くこと1時間ほど。ぱっと開けたその眼前に、これまで見たことのない独特の建造物が現れた。そう、「最難関の国宝建築」ともいわれる三佛寺投入堂だ。断崖絶壁に張り付くように立ち、簡素ながらも凛としたたたずまいに見とれてしまう。
ここ三徳山三佛寺は、鳥取県内の日本遺産の一つ、「六根清浄と六感治癒の地 〜日本一危ない国宝鑑賞と世界屈指のラドン泉〜」 の認定地だ。
県内初の日本遺産となった三朝町の三徳山地区と三朝温泉地区。山岳修験の場であった三徳山は、神仏習合の歴史を今に伝える。標高約900メートル、急峻な地形と特異な意匠・構造を持つ建築物が点在し、独特の景観を有する。
三徳山参詣では、参道から三佛寺本堂を経て、役行者(えんのぎょうじゃ)が法力で窟に「投げ入れた」という懸造りの投入堂まで、行者道を巡ることにより、六根(眼、耳、鼻、舌、身、意)を清めるとされる。
ちなみに「舌」とは、三徳山内で供される料理を食することにも繋がる。
三徳山の麓、三佛寺への参道にある輪光院内にある「寺カフェ りんつ」では、豆乳を使用した抹茶風味の「寺(ティラ)ミス」500円など、精進料理の製法を基にしたオリジナルスイーツが味わえる。精進御膳1980円~(要予約)も人気を呼んでいる。
三徳山から西へ約5キロ、参詣の拠点でもある三朝温泉は、三徳川の清流沿いを中心に23軒の湯宿が立ち並ぶ。世界でも有数のラドン含有量を誇り、湯治場としても栄えてきた。日本遺産では、「六感治癒
」をうたう。湯治により、「六感=観、聴、香、味、触、心」を癒やすという。
「吸っ てよし、飲んでよし、浸か っ てよし」といわれる三朝温泉。ラドンは免疫力を高める効果があるといわれ、 人間が本来もっ ている力を目覚めるという。ラドンを体内に取り込むことで細胞が活性化し、新陳代謝も促進され、免疫力や自然治癒力を高めるという。
三徳山参詣者の心身を清めてきた三朝の湯。温泉街には共同浴場や足湯も点在し、のんびりと湯巡りが楽しめる。2020年6月には天然ラドン熱氣浴泉「すーはー温泉」が誕生した。三朝温泉の蒸気を吸う
ことで、ラドンを始めとする温泉成分を体内に取り入れられる施設だ。免疫細胞の活性化などが期待される。
三徳山三佛寺の参道の正善院(しょうぜんいん)も復興し、日本遺産エリア内に新たな魅力が加わった。
(ウェブ掲載 2020年7月20日)
三朝温泉までのアクセス
山陰線倉吉駅から三徳山駐車場行きバス25分、三朝温泉観光商工センター前など下車/中国道院庄ICから国道179号、道 21号経由57キロ ※三佛寺までは温泉街から車で10分