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春風亭昇太 お城めぐりのすすめ<中編>

場所
春風亭昇太 お城めぐりのすすめ<中編>

小牧山城にて


――中世の山城の人気がだんだん高まってきています。

地元自治体でも山城を整備するようになりました。昔はトレッキングシューズを履いて、トレッキングポールを用意したりして装備していきましたが、今は普通にスニーカーでも行けますし、注意深く見ないとどこに遺構があるかわからない状態だったのが、道標や解説板が立ち、より分かりやすくなりました。

中世の城を見に行くようになって良かったと思うのは、歴史の授業で習う戦国時代の勢力図は有名な大名しか出てきませんが、もっと小さい領主がたくさんいて、そういう人たちもその土地の殿様として君臨していたのが分かったこと。郷土の歴史を知りたいと思ったとき、城というのはいい教材になると思います。

――自治体による整備がよくできていると感じた城は?

静岡県島田市の諏訪原城ですね。木を伐採して縄張を目視できるようにしてくれている。昨年、麓にビジターセンターも開館しました。諏訪原城の歴史や構造を紹介し、推定復元図なども展示しています。

それから愛知県小牧市の小牧山城。発掘調査でも貴重な発見がありましたし、中世の城郭から近世の城郭に移行する段階の様子がよくわかります。

諏訪原城
諏訪原城にて

 

■諏訪原城(静岡県島田市)

戦国時代、東海道の要害に武田信玄が砦を築き、その後1573年、遠江侵攻の拠点・徳川氏に対する備えとして、武田勝頼が馬場美濃守信春に命じて、牧之原台地に築いた山城。自然を巧みに利用した三日月堀や丸馬出しなどの遺構がほぼ現存している。

TEL:0547-36-7967(島田市博物館課文化財係)

■小牧山城(愛知県小牧市)

標高86㍍の小牧山に織田信長が1563年に築城。主郭の周囲には石垣がめぐらされ、東麓部は史跡公園として整備されている。山頂には小牧市歴史館(模擬天守閣)があり、古戦場や土器、祭りの資料を展示。麓にガイダンス施設「れきしるこまき」(小牧山城史跡情報館)が2019年にオープンした。

TEL:0568-39-6123(小牧市観光協会)

 

――城めぐりはおひとりで?

だいたいひとりですが、整備されていない山城などは滑落などの危険もあるので複数で行くようにしています。昔は山城をめぐっていて人に出会うことはなかった。近年は、「平日のこんな時間に?」と驚くほど、人に会うことが多いですね。若い女性も増えましたね。

日本人の多くが、幕末と戦国時代が好きだといいます。大河ドラマも戦国時代が多い。不思議なことに戦国時代が好きなのに、こと城となると急に江戸時代になってしまう。でも、少し調べれば、戦国時代の城に天守閣はなく、山城だということがわかる。山城に興味を持つ人が増えたのも必然ですね。

天守閣のある城が嫌いなわけではないです。現存する12の天守はみんな好きです。なかでも愛媛の松山城が好きですね。建築としても見応えがありますが、門や櫓(やぐら)がよく残っている。天守を含め、一ノ門南櫓や乾櫓、紫竹門など21棟が重要文化財に指定されています。


春風亭昇太/しゅんぷうていしょうた

1982年、春風亭柳昇に入門。2000年には文化庁芸術祭大賞を受賞。2006年に日本テレビ「笑点」大喜利メンバーとなり、2016年には6代目司会者に就任。また、役者としても活躍するほか、「お城めぐり」が高じ、著書の執筆、講演、城イベントなどの出演も多い。

 

(出典「100名城さんぽ」2020年10月5日発売)

(ウェブ掲載 2020年12月17日)



Writer

たびよみ編集部 さん

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