日帰り温泉で貸切露天風呂を
木の花の湯
密を避けて貸切露天風呂で温泉満喫
コロナ禍で自粛が続き、旅行へ行きたい、温泉に入りたいという思いは強い。感染予防対策をして、“withコロナ”の新しい旅スタイルを模索している人は多い。
そんな中、温泉宿で露天風呂付き客室を希望する旅行者が急増。ほかの客と一緒に入浴しない安心感があるのも人気の理由のようだ。
1泊せず、日帰りで密を避けながら温泉を楽しむのもいい。お勧めしたいのが、貸切露天風呂のある日帰り温泉施設だ。
「日帰り温泉に貸切露天風呂があるの?」と意外に思う人は多いだろう。幼児連れ家族などの場合、貸し切りならパパママの一方だけに負担がかからず一緒に入れる。高齢の同伴者がいれば、サポートしながら入れる。手術の痕がある人も、ほかの客の視線を気にせず温泉を楽しめる。
こうしたニーズの高まりを受け、貸切風呂、貸切露天風呂を用意する日帰り温泉施設が増えている。とはいえ1施設に貸切露天風呂が一つや二つでは、利用できる確率が低い。
そこで今回、貸切露天風呂の数が多い日帰り温泉施設の中から、魅力の高い4軒を厳選して紹介しよう。
1軒目は栃木・鬼怒川温泉にある「自然浴 離れの湯 あけび」。車でも鉄道でも都心から行きやすく、日帰りでもゆったり過ごせる。古民家を移築した母屋のラウンジを中心に、全10室が独立したロッジタイプ。各部屋に脱衣スペースを兼ねた6畳間があり、その奥のテラスに木造りと石造りの二つの露天風呂がある。共に単純温泉をかけ流し、林間に鬼怒川渓谷を見渡せる。1時間から最長10時間まで30分単位で予約利用可。好みと予算次第で滞在時間を決められる自由度がいい。
密を避けて個室休憩も魅力
神奈川・塔之沢温泉の「箱根湯寮」も都心から行きやすい。日帰り温泉では珍しく、箱根湯本駅から無料送迎してくれるのも魅力。「古民家風の里山温泉」がコンセプトで、起りと呼ばれる黒屋根の連なりが風情を醸している。
全19室で、広さは18・24・32平方㍍と3タイプあり、最大4人まで利用できる。露天風呂の造りは岩、陶器、釜などさまざま。泉質は美肌の湯と評判のアルカリ性単純温泉だ。館内に大浴場、サウナなどのほか、囲炉裏料理が自慢の食事処もある。
絶景を楽しみたい人には、静岡・御殿場プレミアム・アウトレットの敷地内にある「木の花の湯」がおすすめ。一緒に買い物を楽しめるメリットもある。
絶景とは富士山で、その眺めを第一に考えて設計された。全19室のうち3階8室からは、露天風呂につかりながらすそ野まで見渡せる。富士山の大沢溶岩を使った岩風呂、信楽焼の職人が手作りした壺風呂など湯船の造りは異なる。源泉はメタケイ酸が豊富で、美肌効果も期待できる。
九州エリアは、一般的な日帰り温泉でも貸切風呂は定番。言い換えれば激戦区だ。
そんな中、「家族風呂専門」を掲げ人気なのが、福岡・久留米市にある「いづみ乃湯」。入り口に飾られた全20室の写真から選び、自動販売機で入浴券を買うシステム。予約はできないが、ホームページで個室タイプごとに待ち時間を掲載している。
各個室には内湯と露天風呂があり、pH 9.9のアルカリ性単純硫黄泉をかけ流し。とろみがあり、肌がスベスベになる。展望は期待できないものの、それを補って余りある魅力の泉質だ。
ほかにも大和の湯(千葉)、美人湯祥風苑(大阪)、山翠(鹿児島)など、貸切露天風呂のあるお勧め日帰り温泉は多い。毎回、同じ施設を訪ねるのもいいし、異なる湯を巡るのも楽しいものだ。
(文/天野久樹)