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パーラーたちかわ

場所
> 岩見沢市
パーラーたちかわ

重厚感のある建物。1階部分は店を始めるにあたって入り口と大きなガラス窓を設けた

築約100年の建物を、先祖に感謝しひとり守る

「あと2年で100年になるのよ。でもどこも緩んだところもなければ、傾いた場所もないの。こんな立派な建物を築いてくれたご先祖様に感謝しなくちゃいけないでしょう」

ひとりで店を切り盛りする立川順子さんは、大正時代の1922年からずっと岩見沢の街を見守ってきた蔵の壁をさすり、笑みを浮かべた。酒屋の蔵であったレンガ造りの建物を譲り受け、立川さん夫妻が喫茶店を開いたのは1979年のこと。蔵を守りたいという一心で始め、喫茶店経営は素人ながらがむしゃらに働いた。当時の岩見沢駅周辺はにぎやかで、学生も多かった。

「息子や娘がいっぱいできたみたいで楽しかったわ。そんな子たちが、大人になってからも里帰りのたびに寄ってくれるの。その時の感激は、私だけが味わえる特権よ」と立川さん。旦那さんを亡くしても寂しさは微塵も感じさせずに、また笑う。

今はほとんど使っていないという2階に上ると、蔵特有の小さな窓から差し込む光が、梁や壁をほのかに照らしていた。きしむ階段をどれほどの人が上り下りしたのだろう…… 。

メニューはサンドイッチからカツ丼まで豊富。83 歳という立川さんだが、料理の腕は衰えていない。オーソドックスなミートソーススパゲティを味わいながら、この店に通えた「息子たち、娘たち」がうらやましく思えた。

文/渡辺貴由 写真/齋藤雄輝

店内
レンガがむき出しの壁もある店内
グルメ
ミートソーススパゲティは良心的な価格。コーヒーのセットもある

パーラーたちかわ

住所:北海道岩見沢市四条西1-4-1

交通:函館線・室蘭線岩見沢駅から徒歩10 分

TEL0126-24-0261

(出典「旅行読売」2020年12月号)

(ウェブ掲載 2021年3月13日)

 

旅行読売出版社「旅する喫茶店」2021年9月1日(水)発売 定価1430円(税込)

Writer

渡辺貴由 さん

栃木県栃木市生まれ。旅行情報誌制作に30年近く携わり、全国各地を取材。現在、月刊「旅行読売」編集部副編集長。プライベートではスケジュールに従った「旅行」より、行き当たりばったりの「旅」が好き。温泉が好きだが、硫黄泉が苦手なのが玉に瑕(きず)。自宅では愛犬チワワに癒やされる日々。

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