明知鉄道で鉄カードをゲット!
桜に彩られた山岡駅
約70社でカードを制作・配布
鉄カードは、地方ローカル線の魅力を知ってもらい、沿線を盛り上げようと制作されたPRカード。岐阜・明知鉄道の職員による発案で、2017年3月に長良川鉄道、静岡鉄道など21社でスタート。現在、約70社が参加し、第12弾を配布中だ。無料配布ではなく、各社グッズなどを規定額以上買うともらえる。2019年、この取り組みが評価され、国土交通省の「第18回日本鉄道大賞」を受賞した。
明知鉄道は観光列車の先駆け路線で、大河ドラマをきっかけに明智光秀ゆかりの地を走ることでも話題に。鉄カードを集めながら訪れることにした。
郷愁漂う無人駅を結んで
明知鉄道の起点となる恵那駅は、名古屋駅から中央線快速で1時間少々。1934(昭和9)年に開業した国鉄明知線を引き継ぐ第三セクターで、全長25.1㌔、11駅を結ぶ。
鉄カードをもらう条件は鉄道会社により異なり、明知鉄道はオリジナルグッズを500円以上買うともらえる。起点駅の恵那駅でも売っているため乗らなくてもゲットできるが、やはり鉄道旅情を楽しみたい。「終着駅はどんな雰囲気だろう」という、盲腸線ならではのワクワク感もあった。
単式ホームで待っていた2両編成のワンマン列車。ディーゼル音を響かせ、力強く出発した。市街を抜けると田畑が広がり、時に単線を覆うように木々が茂り、時にトンネルの暗闇に吸い込まれながら、無人駅を結んで走る。ビル群の車窓風景に慣れていると、何気ない田畑や山林の情景に癒やされる。
途中の極楽駅は無人駅であって、無人駅でなし? ホームにお地蔵さんが鎮座し、待合室に観音様が立っていた。この地にあった極楽寺の名残を感じてもらう演出という。車内から手を合わせ、旅の無事を祈った。
地酒や寒天など観光列車を運行
終点の明智駅に到着。グッズと鉄印を買って駅カードをもらった。絵柄は紅葉に彩られた野田トンネルを抜ける明知鉄道だ。
「きのこ列車、阿木川橋梁など絵柄の違うカードを発行してきました。これからも素敵な写真を選びますので、何度も来てほしい」と同鉄道の広報・伊藤温子さんは熱く語る。
四季折々に走る観光列車も魅力だ。3月は4種の地酒が飲み放題の「枡酒列車」や、特産の自然薯を味わえる「じねんじょ列車」。4月からは「寒天列車」や「おばあちゃんのお弁当列車」も運行する。
駅舎を出る前に、終着の様子を見ようとホームの先に視線を送る。郷愁を誘う車止めはなく、車両工場につながっていた。国鉄時代の構想では、東海道線掛川駅まで山間部に路線を敷く壮大なものだった。工場を眺めながら想像を膨らませた。
大正浪漫を感じながら昔町散歩
恵那市明智町は、大正時代に製糸業で栄えた地。当時の建物が多く残り、保存に町全体で取り組みながら「日本大正村」として観光客を迎えている。黒い羽目板の蔵が連なる大正路地や旧町庁舎など、建物を見て歩くだけでも面白い。
<問い合わせ>
鉄カード事務局(明知鉄道内)
(出典「旅行読売」臨時増刊「ご当地カードを集めよう」)
(ウェブ掲載2021年3月25日)